2015/03/09
訓練で不安解消 人手不足の業界活性化
来場者に無料アレンジ
出産で退職した美容師の復職支援が、名古屋を中心に動きだしている。恒常的な人手不足を背景に、職場復帰に不安を抱くママと美容院をつなぎ、業界を活性化させるのが狙いだ。13日から名古屋市東区のナゴヤドームで開かれる「ハッピーママフェスタ」(中日新聞社など主催)のビューティーサロンで、復職後や育児休業中のママ美容師が来場者に無料でヘアアレンジをする。(小中寿美)
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「ママスタプロジェクト」と銘打ち、支援を始めたのは国際総合ビューティスト協会(名古屋市中区)=フリーダイヤル(0120)860434。美容師の現場はカットなどの技術が流行で変化し、使う薬剤も新商品が次々と登場する。昨年1月から、そうした技術や知識を復職希望のママたちに教え、提携する美容院や催しなどでインターンシップ(就業体験)の機会を提供している。
「美容院は個人事業主がほとんどで、産休や育休の制度が整っていない。出産で退職せざるを得ない女性は多い」と代表理事の日比谷美奈子さん(42)。現場を離れると自信を失い、国家資格があるのに他のパートに就く人も多いという。「でも、いざやってみると手は技術を覚えている。数回の訓練でも自信になる」
岐阜県御嵩町の美容院で働く鎌倉玲子さん(38)もその1人。3人の子を出産し、パートで現在の美容院で復職したが、以前は手掛けたカットは自信がなくなり、引き受けなかった。仕事にためらいを感じていたとき、背中を押したのが、昨春の「ハッピーママフェスタ」だった。
同協会が訓練の一環として初めて企画し、ママ美容師を募集。経営者の勧めで参加し、カールやセットを手掛けた。ある母親のとき、待っていた男の子が仕上がりを見て「かわいい」と声を上げた。「いい仕事やなあ、と思った」と鎌倉さん。その後、特殊なカットの技術を学んで資格を取り、カットを担当するように。「お客さんの表情が明るくなるのを見るのが、一番うれしい」と話す。鎌倉さんが働く美容院の経営者で、自身も2児の母の神谷幸代さん(48)は「子育てを経験したママは、上司の指示にも客の要望にも対応する能力が高い。かゆいところに手が届くんです」と話す。
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増加傾向の美容院は全国に23万店あり、理容室やクリーニング店より多い。だが離職率は高く、就職から3年未満で約半数が、10年で9割の美容師が離職するとされ、業界は人手不足に悩んでいる。
こうした課題の解決に向け、家族向けヘアサロンを経営する会社が母体となり、2011年に同協会を設立。日比谷さんは「子どもの病気に備え、自宅近くの美容院を望むママは多い」といい、提携した約250の美容院に訓練の協力を求め、就職先として紹介していく考えだ。復職を考えるママが会員登録し、情報提供をする仕組みづくりや、ママ美容師を雇用して成功した事例を、冊子にする準備も進めている。
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ハッピーママフェスタのビューティーサロンは期間中(15日まで)開かれる。美容師資格のある来場者向けに復職支援の内容も紹介する。問い合わせは中日新聞社会事業部=電052(221)0955=へ。
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