2015/02/05
厚生労働省が検討している「残業代ゼロ」制度の報告書修正案が判明した。対象者の年収要件は一般企業の「平均給与額の3倍超」と法律に明記。要件が下げられ、対象者が広がることを防ぐ。2019年4月から中小企業にも月60時間超の残業代を割り増す。
厚労省は6日の審議会分科会に提示、とりまとめを目指す。関連法案は今国会に提出、新制度は16年4月からの施行を目指す。
「残業代ゼロ」制度は高度な職業能力を持つ人が対象で、金融商品開発などの職種を想定。「高度プロフェッショナル労働制」と名称がつけられた。
1月29日の分科会では労使の主張が対立、報告書を取りまとめられず厚労省は修正案をつくった。
当初案は、対象者の年収要件を1075万円以上とし、省令で定めることにしていた。労働側が「省令ではすぐ引き下げられ対象者が増える」と反発したのを受け、法改正をしないと変更できないようにする。
平均給与額は、厚労省の毎月勤労統計調査を基にする。パート労働者も含めた平均給与の3倍は年約940万円。修正案はさらに3倍を「相当程度上回る」額を年収要件にするとしており、ここから1075万円を基準とする根拠とした。
出退勤時間を自分で決められるフレックスタイム制は労働時間を1カ月ごとから3カ月のなかでやりくりを可能にして、子育てなど家庭の事情に合わせて勤務時間を調整しやすくする。あらかじめ労使で労働時間と賃金を決めて働く裁量労働制は対象職種を一部の営業職にも広げる。(鈴木穣)
転職・求人情報検索(名古屋市・愛知県・岐阜県・三重県)はトップから