2014/10/29
70歳まで定年延長 地域限定社員導入も
2014年9月中間決算を発表した中部地方のスーパー・外食企業の間で、店舗の運営に欠かせない主婦パートらを囲い込む動きが広がっている。パートの定年を70歳まで延長したり、異動や残業のない「地域限定社員」を新たに導入するなど、あの手この手で人材確保に躍起となっている。(稲田雅文、小柳悠志)
スーパーのヤマナカ(名古屋市)は10月から、パート従業員の定年をこれまでの65歳から70歳に引き上げた。仕事を熟知するベテランを引き留めるのが狙い。新たな人材を採用するのと比べて、教育コストを減らせる利点もある。
正社員を含めた従業員約四千人のうち、主婦らのパートは8割を占める。一方で、都市部を中心に人手不足は深刻で、退職するパートを補充するのは年々難しくなっている。中野義久社長は「社員以上にできるパートも多い。できる人にチャンスを与える」といい、健康で能力がある場合は70歳まで雇用する考えを示した。
定年の引き上げに加え、店長の推薦をへて昇格させる嘱託社員を今後増やす。昇格すれば、給与などの待遇が上がり、正社員への道も開ける。中野社長は「客の多くは女性。女性の感覚を生かした品ぞろえやサービスが重要」と語り、経験豊富な女性たちの力を最大限に引き出したい考えだ。
外食チェーンのアトム(名古屋市)は、転勤や残業がなく、1日のうち決まった時間帯に働く地域限定社員制度を今春につくった。これまでは異動と残業がある正社員か、パートしかなかったが、小沢俊治社長は「新しい雇用のスタイルで受け皿をつくる」と語る。
半年ごとに契約を更新する契約社員だが、継続して働くことを前提とする。回転ずしや居酒屋などを運営する同社でも、働き手の9割を主婦パートと学生アルバイトが占める。ただ主婦パートの場合、夫が配偶者控除を受けられる年収103万円以下にするために、働く時間を抑える人が多い。このため地域限定社員は、税や社会保険料の負担が生じてもメリットがあるよう、年200万円以上の収入が得られるようにした。
子育てから手が離れた主婦を中心に、これまでに32人を採用した。パートだと週4日、1日5~6時間程度働く人が多いが、地域限定社員になると、週5日、1日8時間の勤務が基本となる。このため、正社員の残業時間が減る効果も出ている。小沢社長は「今後も地域限定社員を拡充する」といい、来年3月までに100人に増やす予定だ。
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