2014/10/11
名古屋の伝統工芸である有松鳴海絞の若手職人を育てるため、県絞工業組合が開く育成講座で、2009年から受講してきた1期生の11人が全課程を終えた。緑区有松の同組合で10日、修了式があり、出席した人たちは今後、絞り職人として歩んでいく決意を新たにした。 (中尾吟)
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11人は名古屋、一宮、豊川市などに住む20~50代の女性。伝統工芸士の資格を持つベテラン職人による指導を月2回、5年間受けた。生地に多彩な柄を施すための100種類の絞り技術のうち、基本となる3種類の手法を習得した。
組合が講座を設けた背景には、絞りのくくり作業が人件費の安い海外に委託が進んだことで、国内で後継者が育たなくなり、職人がいなくなる恐れがあるからだ。
現在、名古屋市を中心に数百人いるとされる職人は、ほとんどが80~90代。その下の世代への技術継承は進んでいない。だが、09年に講座を始めてからは毎年10人ほどの受講生が集まり、技術習得に励んでいる。
10日は11人のうち5人が、組合理事長の竹田嘉兵衛さん(74)から修了証を受け取った。竹田さんは「400年の歴史がある絞りも、作り手がいなくなればそこでおしまいになる。今後は皆さんが中心になってほしい」と激励した。
竹田さんは修了生が作った手拭いを見比べ、「商品として申し分ない仕上がり」と太鼓判を押した。残る6人には11日に修了証が渡される。
修了生は今後自立し、絞り業者が発注し、組合が取り次いだ仕事を請け負う。最年少の高橋さん(28)=中川区=は大学卒業後、この道を目指してきた。「初めて使う道具ばかりで、慣れない時期もあったが、体で一つ一つ覚えることができた。伝統を生かした、新しい感覚の作品にも取り組みたい」と意気込みを語った。
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