2014/09/23
日米欧の自動車メーカーにエアコンや衝突安全センサーなどを納めるデンソー(愛知県刈谷市)は、毎年夏休みに、社員の子どもに仕事場を見てもらう「ファミリーオープンハウスデー」を開いている。仕事への理解が深まれば子どもとの会話が増え、社員の働く意欲にもつながると1998年から続けている。
今年は8月中に4日間、本社や工場など9カ所で行われ、社員と家族合計2279人が参加した。子どもたちは親が所属する職場を見学した。
物流企画部には、宮本知美さん(39)が長男泰介君(7つ)、長女祐月ちゃん(4つ)を連れてきた。同部は製品を迅速に輸出するため、商社や航空、海運会社などと連携し、物流全体を管理する部署だ。泰介君はパソコンが置いてある宮本さんの席に座って「うちのパソコンと違う。インターネットを見るためのものじゃないんだね」などと話し、興味津々の様子だった。宮本さんは「夫もデンソーでエンジニアをしており、共働きでさみしい思いをさせている。仕事のことが少しでも分かってもらえれば」とイベントに参加した狙いを語る。
この種の夏休みイベントを企画する企業も少なくない。しかし、定着するまではデンソー社内でも「社員が面倒くさがって家族に知らせないのでは」という不安があり、自宅に直接、応募用紙を郵送していたという。今では社内の電子掲示板で募集すると、数日で定員いっぱいになるほどの人気イベントになった。
デンソーが生産する製品は自動車に不可欠だが、外からは見えないので、子どもが親の仕事をイメージしにくいのが悩みの種。吉田忠久社会貢献推進室長(54)は「仕事が忙しい社員にとり、頑張っていることを知った子どもから応援してもらえれば励みになる」と効果に期待している。(太田鉄弥)
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