2008/12/18
日産自動車が十七日発表した追加減産に伴い、新たに派遣従業員約五百人の追加削減が決まり、全国で計二千人全員が契約解除される事態となった。神奈川県横須賀市の追浜工場では、来年三月末までに新たに三百四十人が追加削減されるが、突然の解雇通告に「派遣従業員は守ってくれないのか」との怒りの声が上がった。工場従業員向けに営業する地元商店街も、売り上げ激減に悲鳴を上げている。 (横須賀支局・新開浩)
横浜市内の派遣従業員の男性(18)は、勤務を終えたこの日午後三時、工場内の事務所に呼び出された。派遣会社の上司から「一月二十日までで終わり。ほかに行くところはない」と、突然の契約打ち切りを告げられた。
男性は高校卒業後、人材派遣会社に就職。七月から同工場で働き始めたばかり。部品をトラックから工場に搬入する作業を担当し、この日は午前六時から早番で出勤していたという。
男性の部署には、ほかの工場から転勤してくる正社員が納まるという。「一生懸命働いたのに、なぜ。何も悪いことはしていないのに。正社員は守るのに、おれたちは守ってくれないんですか」と、やり場のない怒りをぶちまけた。
横須賀市内の二十歳代の男性派遣従業員は、最近発売された新型車の部品を作るラインで働く。「ライン自体は人が増えている。契約打ち切りの通告は受けていないが、ニュースで削減を聞き不安です」と話した。
地元の商店街にとっても、工場の人員削減は客の減少に直結する死活問題だ。
京浜急行追浜駅から工場まで約一キロにわたり商店街が続く。炭火焼き鳥店を営む中村寿夫さん(40)は「夏場から急に客足が減り、九、十月の売り上げは去年の五割」と語る。
日産が全国で千五百人の派遣従業員削減を発表した十一月、売り上げの回復を願って店舗を改装。一時は前年並みに回復したが、不安を隠さない。「以前はお客さんの大半が、日産の下請け会社の社員だったのに、最近はほとんど来ない。今年は乗り切れても、来年はどうなるか」
(東京新聞)
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