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【経済】経団連、雇用安定「努力」に後退 春闘は賃上げ抑制の方針

2008/12/17

 日本経団連は16日、2009年春闘での経営側の交渉指針を示す「経営労働政策委員会(経労委)報告」を正式発表した。主要企業が非正規従業員などの大量削減を相次いで打ち出す中、雇用の安定については「努力することが求められる」と、あくまで努力目標と位置付け、原案段階での「最優先とする」という表現を後退させた。世界的な景気後退を踏まえ、賃上げを抑制する姿勢も打ち出した。

 これに対し、連合の高木剛会長は「非正規労働者を解雇してまで利益を配当に回す経営を信用できない」と批判。春闘では賃上げだけでなく雇用安定をめぐっても労使が全面対決する構図となった。

 家計の下支えなど個人消費の底上げを図る内需刺激策が急務となる中、経営側の厳しい交渉方針は景気の先行きにも影響を与えそうだ。

 雇用対策について、経団連の御手洗冨士夫会長は「省エネルギー製品の増産や介護、保育分野などで官民一体となって雇用対策を進める」と述べ、今後新たな雇用創出に向けて政府と協力する考えを示した。

 経労委報告では、雇用問題の解決には、官民の協力が不可欠との認識から「政府が積極的な役割を発揮していくことが期待される」と指摘。雇用拡大や失業者に対する雇用保険の給付拡充など政府の対策強化を求めた。

 一方、来春卒業する大学生、高校生の採用内定の取り消し急増については「極力取り消しの回避に向けて努力すべきだ」と明記し、経済界としても対策に取り組む姿勢を示した。

 連合は消費者物価の上昇を受けて、09年春闘で8年ぶりにベースアップ要求する方針を決めているが、経労委報告は「ベースアップは困難と判断する企業も多い」とした上で「物価変動が賃金決定の要素となることはない」と強調した。