2014/06/25
国連に市民団体報告
2カ月ごとに雇用契約と解雇を繰り返す東京都の臨時職員制度で、多くの女性が長期間働いても厚生年金に加入できない不安定な状況に置かれているとして、市民団体「ワーキング・ウィメンズ・ネットワーク(WWN)」は今月、「憲法が禁じる性差別」に当たると国連自由権規約委員会へ報告した。議会の女性蔑視やじ問題が海外で波紋を広げているが、都は足元の雇用の面でも国際的に問われそうだ。
都の臨時職員制度は「一時的な仕事のため」との位置付けで、雇用期間を「原則2カ月以内」と定める。これに対し、WWNが50代の女性臨時職員から聞き取り調査をしたところ、約7年間にわたり、2カ月の雇用契約を繰り返しながら勤務していた。連続勤務期間は最大6カ月で、1カ月の雇い止め期間を挟んで再び勤務。契約は部署ごとのため、2カ月ごとに職場が替わることが多いという。
健康保険や厚生年金は、加入要件が「雇用期間が2カ月を超えること」とされており、女性は現在も加入できないまま。有給休暇も各種手当もない。
仕事はファイリングやパソコン入力など日常業務が大半。課長決裁印を押したこともあり「一時的」とはほど遠いという。
周囲の臨時職員はほとんどが女性で、シングルマザーであるなど苦しい事情を抱える人もいたが、大半は健康保険や厚生年金に未加入だという。
問題は4年前にも都議会で取り上げられ、20年以上勤務する職員がいるとの指摘も出たが、都側は改善に取り組まなかった。
都の担当者は取材に「社会保険逃れではない。具体的な仕事の仕方は各部署に任せており、都全体では把握していない」と話す。臨時職員の人数や男女比については不明としているが、総務省の全国調査では、自治体の臨時職員は八割が女性を占める。
国連の委員会は来月、6年ぶりに日本の人権状況を調査。WWNの報告書は資料となり、委員会が問題と判断すれば政府に是正勧告などを行う。(柏崎智子)
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