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【経済】働き過ぎどう防ぐ?

2014/06/04

残業代ゼロ論議の中…事例紹介

 営業職や事務職といった「ホワイトカラー」と呼ばれる従業員の「働き過ぎ」をどう防ぎ、業務を効率化するにはどんな方法があるか-。愛知県経営者協会がこんな問題意識を持って、会員企業の先進的な事例を調べ、報告書にまとめた。インセンティブ(報奨金)支給や取引先との関係見直しに踏み込んだケースもあり、「働き方の見直しの参考に」と呼び掛けている。(山上隆之)

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 これらの37事例を調べたのは、協会内の「成果につながる働き方」研究委員会(委員長・豊島半七豊島社長)。労働時間規制を外し、残業代ゼロの「ホワイトカラー・エグゼンプション」導入の是非が議論される中、「法改正の前に、企業としてまず何ができるのか」の視点に立った。

 労働時間をめぐる制度の見直しにより経営者や従業員の間で今後、「働き方」について関心が高まる可能性がある。

 協会が大手・中堅企業の従業員を対象に実施したアンケートによると、51%が「自己の裁量であれば、長時間労働もいとわない」と回答した。人事担当者へのアンケートでは、従業員の人事評価で重視する項目として「個人の成果・業績」が64%、「取り組み姿勢」が46%と多く、「業務効率化・労働時間短縮」は17%にとどまった。

 こうした結果から「職場全体で無意識のうちに、長時間労働を前提に仕事が進められている」と分析。「従業員任せでなく、企業が主体となって取り組む必要がある」として事例を紹介し、新たな人事制度やルールづくりを提言している。

 報告書は「新・ホワイトカラーの働き方」と題して発刊し、一部1000円(会員企業には500円)で販売している。

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時短部署に報奨金
 【事例A】「時間外労働時間の削減目標を達成した部署に、削減された残業手当を原資としたインセンティブを支給する。時短という成果に対して目に見える形で報い、従業員の収入面での抵抗感をなくす」

全員にフレックス制
 【事例B】「全従業員にフレックスタイム制を導入し、仕事に適した働き方を促す。会社にいなければならないコアタイム(中心の時間帯)は午前11時~午後3時。始業を午前7~11時、終業を午後3~10時の間で決める」

電話対応時間内だけ
 【事例C】「取引先からの電話による注文、問い合わせはあらかじめ決めた受付時間内に限る。夜遅くまで対応するのを避けるためで、時間外は『本日は終了しました』のアナウンスを流す。取引先には地道に周知して理解を求める」