2014/05/27
政府は26日、上場企業の役員に占める女性の割合を有価証券報告書で開示するよう義務づける方針を固めた。安倍政権は経済活性化に向け女性の活躍を促す方針を掲げており、情報開示を通じて企業の女性登用を後押しする狙いがある。28日の産業競争力会議でこの方針を表明。6月に決める新たな成長戦略に盛り込み、2015年度にも実施する。
現在の有価証券報告書では役員の名前や略歴は記されているが、男女別の構成比は必要とされていない。記載義務づけはこれまでも検討されたが、女性登用を強制されることを警戒する経済界の反対で実現しなかった。政府は今後、企業内容などの開示に関する内閣府令を見直す。
また政府は、上場企業が証券取引所に提出する「コーポレート・ガバナンス報告書」でも役員を含めた女性管理職の起用状況を記載させるよう、各取引所に規定の見直しを要請する。
米国の調査会社によると、13年の日本の女性役員比率は1・1%だったのに対し、フランスは18・3%、米国は14・0%、英国は12・6%と大きな開きがある。
欧米では、性別や国籍を問わず多様な役員の起用が競争力強化につながるとの認識から、女性の登用状況を重視する投資家が多いとされる。
一方、自民党は26日、高市早苗政調会長が成長戦略に対する提言を安倍晋三首相に手渡した。女性の活躍促進策では、所得税の配偶者控除の見直しに加え、女性役員比率の開示も要請。地方銀行の再編を進めて広域地銀を創設することも提案した。政府は今後の議論の参考にする。
【成長戦略】 安倍政権の経済政策アベノミクスの「第3の矢」で、規制緩和策や予算措置、減税などデフレ脱却に向けた施策をまとめたもの。昨年6月に決めた成長戦略は市場の評価が低く、安倍晋三首相はことし6月に新たな成長戦略を策定するよう指示した。政府の産業競争力会議や経済財政諮問会議で議論しており、自民党の提言も反映される。
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