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【愛知】青空市場で働く自信を 熱田で精神障害者ら〝訓練〟

2014/05/16

 うつ病などにかかった人が再び働くための就労訓練に取り組む民間の職業訓練校「ジョブトレーニングセンター パッソ熱田校」(熱田区神宮三)が月2回、同区旗屋町の想念寺の門前で物販イベント「青空市場」を開いている。訓練校に通う人たちは「地域との触れ合いの中から、働く自信をつけたい」と意欲を見せている。 (鈴木龍司)

 「いらっしゃいませ」。30代のエプロン姿の男女がコップにコーヒーやジュースを注ぎ、自ら仕入れた野菜や雑貨を販売する。4月の2回に続き、3回目の開催となった今月14日の青空市場は、年配の女性客を中心ににぎわった。

 昨年7月に開校したパッソ熱田校には、うつ病など精神的障害がある20代から50代の25人が通う。職場や家庭でストレスをため、精神状態が不安定になった人が多く、各自のペースでパソコン操作や裁縫、電話の応対、接客などの訓練を受けている。

 青空市場は、経営や接客の実体験を通じて働くことの意義を感じてもらおうと、寺側の協力を得て始まった。

 「お客さんが温かく話し掛けてくれる。自分が受け入れられているという実感がわく」。みんなの先頭に立って、客の呼び込みをしていた男性(42)は笑顔を見せる。

 この男性は町工場を営んでいたが、不況の影響で5年ほど前に倒産。その後、家電量販店で働いたが、激務と育児のストレスでうつ病になり、ここ4年間は仕事をしていない。「まだ具体的な職種は決まっていないが、働かなければならないという気持ちが出てきた」と訓練の成果を感じている。

 青空市場の運営にあたっては、自分たちで販売計画を練り、仕入れや収支報告を作成する。同校の職業指導員、森佐喜子さん(53)は「回を重ねるごとに、率先して役割を探す人たちが増えてきた。この取り組みで得た達成感が自信になるはず」と期待を込める。

 訓練校の趣旨に賛同して、会場を提供している想念寺の住職渡辺観永さん(46)は「地元の住民の関心も高まってきた。まだ若く、才能ある皆さんと協力しながら、街もにぎやかにしていきたい」と話している。

 次回の青空市場は28日午前11時から午後2時まで。問い合わせは、パッソ熱田校=電(678)8277=へ。 

エプロン姿で野菜などを販売する訓練校の人たち(左側)=熱田区旗屋町の想念寺で
エプロン姿で野菜などを販売する訓練校の人たち(左側)=熱田区旗屋町の想念寺で