2014/05/10
心身に障害がある人たちの職業訓練の場となり、就職の橋渡しもする「就労移行支援事業所」を、田原市社会福祉協議会が田原市赤石の田原デイサービスセンター内に開設した。コミュニケーション能力を高めることに主眼を置き、2年間の訓練を経て、就職を目指すとしている。(那須政治)
身体、知的、精神の各障害がある人が対象で、定員は20人。所得が年間130万円以下の人は、利用料は無料。平日の午前9時半~午後3時半に通所し、訓練は、学校の授業のように細かく区切られている。
4月の開所後、現在は数人が、手先を使った単純作業や脳力トレーニングに励む。後片付けや清掃も自分たちでやり、「体力づくり」や「ビジネスマナー」の訓練もある。
最初の半年間で社会的な基礎能力を身に付け、その後は施設外での実習やパソコン講座、面接練習などに移る。職員は、就職を受け入れてくれる企業の開拓や、求人に応じた利用者とのマッチングにも努める。
人前で話す訓練を多く取り入れているという。職員の中西秀一さん(37)は「人と話すのが苦手なことが少なくない。それが原因で会社を辞める人も多く、会社の人といい関係を築く能力を養ってもらいたい」と話す。
軽度の知的障害がある池田洋平さん(23)は、市内のごみ処理施設に5年勤務していたが、「もっと仕事の選択肢を増やしたい」と考え、通い始めた。「人とのコミュニケーションが得意ではないけど、訓練は楽しいし、自分も努力したいと思える環境」と語る。
従業員11人が全員障害者で知られる田原市の段ボール製品加工業「INOUE FACTORY(イノウエ ファクトリー)」の井上敦詞社長(38)は、障害者が働く際に大事なこととして、「意思疎通」「毎日働きに行く」「時間と礼儀を守る」の3点を挙げる。一方で、企業側には「その人の努力や成長を、長い目で見てあげることが大切だ」と強調する。
【障害者就労移行支援事業所】
障害者自立支援法に基づき、民間企業への就労を希望し、雇用されることが可能と見込まれる人に就労技能や知識を提供する施設。就職や就職後の支援もする。民間企業やNPO法人が運営するケースが多い。厚生労働省によると、障害者就労支援事業所から民間企業への就職率は20・1%(2011年)。就職につながるだけの訓練内容となっているかが課題とされる。
転職・求人情報検索(名古屋市・愛知県・岐阜県・三重県)はトップから