2014/05/01
主婦も参加 仕組み学んで仕事に幅
女性たちの間にIT技能を身に付けようという動きがある。初心者向けのプログラミング勉強会も開かれ、ITと関係のない職種の人や主婦らも多く参加し、裾野は広がってきている。プログラミングの仕組みを知ることで、仕事の幅が広がったり、新たな事業につながったりすることもあるようだ。(田辺利奈)
3月に名古屋市で開かれた女性向けのプログラミング勉強会「Rails Girls(レイルズ・ガールズ)」には、一般事務職やデザイナーら10人が参加。IT企業などでプログラミングに携わる人たちに先生になってもらい、ウェブページがどうやって作られ、動いているかの仕組みを学んだ。
アプリケーション(アプリ)という、写真を投稿したりデータベースを作ったりするソフトウエアを完成させるのが目標だ。
中には、普段はパソコンでエクセルくらいしか使わないという参加者も。IT技能の習熟度によって班分けをし、それぞれのレベルに合わせて「Ruby」と呼ばれるプログラミング言語を習った。この言語を入力することで、アプリが動くように指令を送る。ウェブサイトの体裁を整えたり、写真などを公開する機能を付けたりと、徐々に高度な操作もできるようになっていった。
この勉強会は、もともとフィンランドのヘルシンキで女性の就業機会を増やそうと2010年に始まった。今では世界各国に広がり、日本でも東京や京都などで開かれてきた。参加費は無料で、地元企業などがスポンサーになっている。名古屋で進行役を務めた矢田恵子さん(36)は「こんなことができたらいいな、という思いを形にするやり方を伝えている。まずは楽しんでもらうことが大事」と話す。
参加した名古屋市の神谷歩実さん(25)は「エンジニアをしているが、周りに女性の開発者はいないので、女性向けというのにひかれた。アイデアが浮かんだら実際に作ってみたい」。デザイナーをしている同市の寺田衣里さん(34)は「今は紙での仕事なので、ウェブ系の仕事にも広げていくきっかけになれば」と話す。
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人材派遣サービスなどを手掛ける「パソナテック」では、女性向けのネットショップスクールやIT講習会などを開いてきた。同社執行役員でマーケティング企画担当の粟生万琴(あおうまこと)さん(39)は「ITの仕事は子育て中のママでも在宅でできる。女性の雇用創出には適している」と話す。
4月末に名古屋市で開講したアプリ作成講座には、男性に交ざり主婦や女子中学生らも参加。プログラム入力の方法を学んだ。ウェブサイトに自分の名前を表示させることができると、「おー」と感動する声も上がっていた。
講座は、同社と地元のラジオ局「ZIP-FM」が共同主催。3カ月かけてITを体験する。費用は全12回で8万9400円(学生5万円)。他に2カ月のコースもある。2年ほど前から始まり、今回が4回目の開講となる。
参加した同市の主婦、杉山糸さん(46)は「部屋のレイアウトや壁紙の色などを変えたらどんなふうになるか、画面上で見られるアプリが作りたい。今は建築士の勉強をしているので、その仕事にも生かせるのでは」と話した。
粟生さんは「女性が結婚や出産などのライフイベント(人生の節目の出来事)でキャリアから脱落してしまうのはもったいない。IT技能を身に付ければ、仕事の可能性を広げられる」と話している。
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