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【暮らし】夫婦の分担、具体的に 育休復帰の極意

2014/03/21

 今春、育児休業からの職場復帰を控える夫婦はどんな準備を進めているだろうか。「何となく大変そう」と漠然と考えるのではなく、具体的に一日の流れを書き出して夫婦で話し合ってみては。互いの思いを尊重しながら言いたいことを伝え合う姿勢も必要になる。共働き夫婦を対象にしたセミナーで、その極意を聞いた。

 岐阜市の会社員、長屋友美子さん(30)は今月、第一子の育休を終えて職場復帰した。時間短縮勤務で保育園の迎えを済ませ、帰ってから夕食の支度を始める。午後六時すぎに帰宅する夫が、子どもの入浴を担当。長屋さんは復帰前、退社から子どもの寝かしつけまでを頭の中でイメージして、復帰後に備えた。「生活の変化に不安はあるが、夫婦で協力しながら改善していけたら」と話した。

 二月に名古屋市内で開かれた共働き夫婦向けのセミナー。今春の職場復帰を控えた夫婦などが集まった。講師を務めた育休後コンサルタントの山口理栄(りえ)さんは、「家事や育児の分担に、抵抗を感じる男性は減っている。女性も『家族を養う』という大黒柱意識を明確に持ち、夫婦で協力してほしい」と呼び掛けた。

 夫婦の協力体制や信頼関係を築く上で、父親の育休取得は近道だが、現実には難しい場合も。育休が取れない父親もできることとして、山口さんは「保育園の送り迎えのどちらかを担い、迎えを週に一回以上」と提案。この場合の「迎え」とは、保育園の迎えから寝かしつけまでを指す。迎えに間に合わなくても、夜八時までには帰り、寝かしつけまでの慌ただしい時間を共有する。「母親の気持ちが楽になり、子どもに落ち着いて接する余裕が生まれる」という。

 一方、山口さんは「家事は自分がやるべきだと思い込んでいないか」と母親にも意識改革を求めた。例えば夕食作り。「毎日、母親が夕食を手作りする必要はない」と山口さん。夫に任せる日を月一回でもつくり、少しずつ回数を増やす。夕食材料の宅配やおかずを買う、外食する、といった複数の選択肢を組み合わせて、夕食の支度を思い悩まず一週間を乗り切りたい。

 セミナーの後半、参加者はグループをつくり、仕事がある日の一日のタイムスケジュールを書き出した。ポイントは「自分」「子ども」「パートナー」に分け、起床、朝食、出勤、勤務、子どもの保育時間、帰宅など、それぞれの行動別に書くこと。母親が迎えの場合、父親が迎えの場合の二パターン用意すると、よりイメージしやすい。

 次に夫婦の役割分担。山口さんは、朝食の支度から寝かしつけ、病児保育の手配まで、子育て中の共働き夫婦に必要な家事育児、その他の準備など三十五項目の一覧表を配った。ただ、夫婦で全てを担う必要はなく、両立には地域の支援や外注なども選択肢に加え、夫婦で話し合う。参加した名古屋市の男性会社員は「家事分担表を作った経験はあるが、やるやらないでけんかになった。きちんと話し合わずに、決めるだけでは何の解決にもならないと分かった」と話す。

 復帰が近づいたら、チェックリスト=表=を参考に最終確認を。「出産前と同様に働けなくても焦らない、予期せぬことが起きても慌てない、将来の夢をあきらめない-の三つの『あ』を大切に」との山口さんからのメッセージに、参加者はうなずいていた。

(福沢英里)

山口理栄さん(中)の指導で、育休後の育児や家事分担についてグループで話し合う夫婦ら=名古屋市東区で
山口理栄さん(中)の指導で、育休後の育児や家事分担についてグループで話し合う夫婦ら=名古屋市東区で