2014/02/17
報酬型 本気の就業体験
春日井市の中部大と春日井商工会議所が協定を結び、昨年10月から大学生の「報酬型インターンシップ(就業体験)」に取り組んでいる。教育の一環で実施される無報酬のインターンシップと異なり、本気で就業体験に取り組めるようにと企業側が学生に給料を支払う仕組み。大学と経済団体が協定を結んでのこうしたインターンシップは珍しく、受け入れ企業の広がりが課題になっている。
1月下旬、中部大国際関係学部3年の田中成美さん(20)は、鋼材加工販売「前田鐵鋼」の南下原工場(春日井市南下原町)で、資材のデータ入力を担当していた。「前田鐵鋼の田中です。いつもお世話になります」。時折、取引先の企業からの電話にも応対する。
就職活動を前に、昨年10月末からインターンシップに参加した田中さん。3月まで週2回、事務社員と同じ業務に当たる。「あいさつや言葉遣いなど、基本的なマナーは社会人として大事なこと」。企業の現場では毎日が学びの連続だ。
同社も好意的で、管理部統括本部長の山中雄二さん(41)は「学生の考えや会社に対する意見を聞く貴重な機会になる」。学生を受け入れることで、学生の新鮮な発想を事業活動に生かしたい考えだ。
中部大と春日井商議所が協定を結んだのは昨年3月。7月に試行した後、10月に本格的にスタートした。学生は職業の適性を見極め、企業側も学生から刺激を受けたり、将来的な人材確保にもつなげたりといったことが狙いだ。
一つの企業で6カ月間を過ごす「長期型」と、3つの企業を2カ月ごとに回る「多業種型」があり、現在は、大学1~3年生の15人が9社で給料をもらいながら就業を体験している。
ただ、報酬型インターンシップをしようと考えている学生は70人いるのに対し、受け入れ企業はまだ少ない。中小企業が多く、学生を指導する余裕がないなどが背景にあるという。
受け入れ企業の経営者と中部大との会合では、企業側から「意欲の高い学生が来てくれた」と好意的な意見があった半面、「アルバイトとの違いに悩む」「報酬を払う以上、ある程度の成果を求めてしまう」といった率直な声も上がった。
商議所は新年度、受け入れ企業を30社に増やす目標を掲げ、会員企業への参加の呼び掛けを強めることにしている。商議所振興課長の足立憲昭さんは「地元で活躍する人材を地域ぐるみで育てるためにも、会員企業に参加を促していきたい」と話している。
春日井支局・磯部旭弘
転職・求人情報検索(名古屋市・愛知県・岐阜県・三重県)はトップから