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【愛知】異業種交流「朝活」1年 名駅で出勤前の時間を有効活用

2014/02/11

 出勤前の早朝の時間を活用し、さまざまな人の話を聞く「朝活ネットワーク名古屋」が名古屋駅近くで始まって1年になった。異業種交流や勉強会、読書会など朝の活動は名古屋でも増えており、インターネット全盛ゆえに、顔をつきあわせて交流する大切さや楽しさが見直されている。

 「おはようございます」。10日午前7時、名古屋駅に近い中村区名駅4のビルの一室に15人ほどの男女が集まってきた。500円の参加費を払い、無料のコーヒーなどを片手に好きな席に座る。

 この日の話し手は、朝活の会場であり、仕事や勉強ができる会員制のスペース「MYCAFE(マイカフェ)」を経営する田中慎也さん(29)。起業を夢見て、接客を学ぶためにホテル、不動産の知識を得るために不動産会社、資金稼ぎのため給料のいい霊きゅう車運転手の仕事を転々とした体験を語った。

 居酒屋を始めようと、事業計画書を書くため喫茶店に通ったとき、店内で仕事をしている人が多いのに気付いた。だが喫茶店は長居させてもらえず、「好きな時間に好きなだけ仕事や勉強ができる場があったら」とMYCAFEを立ち上げた経緯を披露。「業績の悪いときこそ人を増やし、売り上げを伸ばすことを必死で考える」と持論を述べた。

 朝活は昨年1月、当時名古屋に赴任していた会社員が、富山で行われている同様の活動を参考に始めた。毎週月曜日に開かれ、既に53回。転勤した会社員に代わって現在、管理人を務める飲食店勤務の宮崎裕己彦さん(40)=尾張旭市=は「会社や店だけの人間関係は狭すぎる。いろんな人の体験を聞くことは勉強になり楽しい」と話す。

 参加は自由。一度も欠かさず参加している人もいる。朝活が運営上、心掛けているのは1人の人の話をじっくりと聞き、話の後に参加者が必ず感想を述べ、単なる雑談に終わらないこと。宮崎さんは「早起きして得したと思ってほしい」。

 話し手に有名人がいるわけではないが、キャバクラのマネジャー、そば打ち職人、接骨院の院長、野菜ソムリエなど業種は多彩。内容は独り善がりにならず、聞く人がおもしろいと思えるよう事前に打ち合わせをする。

 福祉専門ウェブ会社を経営する熊田光臣さん(37)=千種区=は昨年夏から参加。「人の話を直接聞くことは、その人の熱まで伝わる。ネット上の言葉とは重みが違う」と話す。早起きの習慣もつき、「始業前の時間を有効に使えるようになった」と“朝活効果”を実感している。

 (渡部圭)

田中慎也さん(左)の起業体験談を聞く朝活ネットワーク名古屋の参加者=名古屋市中村区名駅4で
田中慎也さん(左)の起業体験談を聞く朝活ネットワーク名古屋の参加者=名古屋市中村区名駅4で