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【社会】派遣3年上限を廃止 労政審報告書無期限継続可能に

2014/01/29

 労働者派遣法の改正を議論する厚生労働省の労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の部会が29日開かれた。現在3年となっている派遣受け入れ期間の上限を廃止し、3年ごとに働く人を入れ替えれば、企業は同じ職場で派遣を無期限に継続できるとした報告書を取りまとめた。通常国会に改正法案を提出し、2015年4月の実施を目指す。

 正社員から派遣社員への置き換えを防ぐ目的で派遣期間に上限を設けてきた従来の原則を事実上転換。規制緩和により労働者派遣市場の活性化を図る。一方で、派遣労働者の処遇改善が進まなければ、低賃金で不安定な雇用が拡大する懸念もある。

 報告書は、秘書や通訳などの専門業務を除いて業務ごとに最長3年となっている派遣期間の制限を廃止。専門業務の区分も廃止とした。

 1人の派遣労働者が同じ職場で働ける期間を3年に制限した上で、企業が派遣労働者を入れ替えれば派遣継続は可能とし、労働組合から意見を聞くことを条件にした。労組が反対した場合、企業は再検討し対応を説明しなければならないが、労組側に拒否権はない。

 人材派遣会社が無期雇用している人や定年後の再雇用などで働いている60歳以上の人は、同じ職場で制限なく働き続けられるとした。

 同じ職場で3年の期限を迎えた派遣労働者には、派遣会社が派遣先企業に直接雇用を依頼するなどの雇用安定措置を義務付ける。

 また、悪質業者を排除するため、全ての派遣会社を許可制に一本化することも盛り込んだ。

 労働者派遣法の見直しは、政府の成長戦略に盛り込まれていたほか、厚労省の有識者研究会が昨年8月、期間制限の撤廃を盛り込んだ報告書をまとめ、労使が参加する審議会で議論されてきた。