2014/01/19
大学生が企業での職場体験を通じ、働く意味や自分に向く職種を考えるためのインターンシップ。だが期間が短く、働く現場を見る機会がないなど、学生にとって効果に疑問符が付く内容も多い。無給でアルバイトまがいの仕事をさせられたり、損害賠償を請求されたりした学生もいる。
私大四年の男子学生(22)は昨年6月、大手就職サイトで見つけたコンサルティング会社でインターンを始めた。早朝から深夜まで、無給で掃除や雑用をさせられたが「つらいと思うのは自分が甘いからで、会社が正しいと思っていた」。
その後、あいさつをしなかったなどの理由で殴る蹴るの暴行を受けた。7月末に辞めようとすると「(インターンでなく)ビジネススクールだった」として学費26万円などを請求された。
労働相談に応じるNPO法人「POSSE(ポッセ)」(東京)には、賃金未払いや不当に賠償請求をされたという相談が学生から寄せられている。しかし「内定に不利になるのを恐れ、泣き寝入りする学生も多い」(担当者)。
暴力など極めて悪質なケースはそれほど多くないが、学生が有益だと感じられないインターンは多い。
「社員の普段の働き方など、知りたいことを聞く時間もなかった」。私大4年の女子学生(21)は、大手人材会社の1日インターンを受けた経験を振り返る。
学生だけ1室に集められ、会社説明を30分ほど受けた後「将来どう成長したいか」などを発表しただけ。進行役の社員以外とは接触がなかった。
就職情報会社マイナビ(東京)によると、インターンを経験する大学生は増えており、現在就職活動中の3年生では32・7%に上る。だが参加期間は一日が33・8%。内容も、主に学生同士で企画の立案や発表などをするグループワークが全体の51・5%を占める。
法政大キャリアデザイン学部の児美川孝一郎教授は「大人が本気で働く現場に触れ、考え方を知るのがインターンの眼目。短期間、学生だけで課題をこなしても効果は薄い」と指摘する。
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