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【経済】賃金増7割が未定 主要321社 景気先行き不安

2014/01/04

 中日新聞社が主要321社を対象に行った景気アンケートによると、2014年度の業績について、半数を超す企業が売上高、純利益ともに13年度よりも「増える」と回答した。しかし、賃金の「増額を行う」と答えた企業は19・3%にとどまり、70・7%が「未定」だった。

 14年は4月に消費税が増税され、個人消費の低迷は避けられそうにない。多くの企業が経営戦略で重視する中国を筆頭に、新興国の経済成長も一時の勢いは消えた。昨年末に安倍晋三首相が靖国神社を参拝し、中国や韓国との経済関係に悪影響が出るのは必至だ。多くの企業は安倍政権の経済政策「アベノミクス」に後押しされた景気回復に期待するが、その効果がまぼろしのように消えてしまう不安も抱いている。

 アンケートでは、14年度の業績見通しについて売上高が「増加する」と回答した企業が54・5%、純利益が「増加する」と答えた企業が54・2%に達した。

 一方で、日本経済の懸念材料として「消費税増税」(63・2%)、「新興国経済の失速」(58・3%)、「個人消費の低迷」(39・9%)が回答の上位に並んだ。

 景気の現状認識は「緩やかに回復している」が89・7%で、「横ばい」(6・9%)、「勢いよく回復」(3・4%)を大きく上回った。14年の景気見通しも64・5%が「緩やかに改善する」と答え、景気回復に前向きな見方をしたが、「力強く改善」は1・9%にとどまった。

 賃金の増額を「する」と回答した企業のうち、ベースアップ(ベア)を選んだのは8・1%。ベアは企業にとって一時金だけでなく、将来にわたり支払う賃金が増えることになる。堅調な景気回復が継続することに懐疑的な見方をしているためか、13年度の好業績は定期昇給(45・2%)や一時金の支給・増額(22・6%)で反映させるようだ。

 安倍政権が再稼働を進めようとする原発の今後のあり方は、「徐々に依存度を下げていく」が43・0%で最も多く、「新増設や再稼働を進め、将来も活用」は6・5%という結果。「将来にわたって一切動かさない」は2・8%にとどまったが、企業でも脱原発の意識は広がっている。

 アンケートは昨年11月下旬から12月中旬にかけて実施した。

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【定期昇給とベア】
 定期昇給(定昇)は年齢とともに賃金が自動的に上がる仕組み。定昇があると50代まで給料が上がり続ける「賃金カーブ」ができるが、業績が悪化すると定昇を凍結する場合もある。ベアは「ベースアップ」の略で、賃金カーブを全体的に引き上げること。労働者はベアの方が所得が増える。