2013/11/23
一宮水谷さん、村田さん 体験を本に
まだ数少ない女性起業家が、一宮市で活躍している。このうち、住宅や店舗の設計デザイン業の水谷聡子さん(51)と、シロアリ対策の会社を営む村田佳保里さん(37)が今月、県内の女性経営者とともに起業体験をつづった本を出版した。女性が会社を立ち上げる苦労とやりがい。2人は起業の魅力を熱く語る。 (聞き手・安福晋一郎)
-起業のきっかけは
村田/大学卒業後、障害者の福祉施設で働いていましたが、転職がうまくいかず失職。父が役員を務めるシロアリ対策の会社でアルバイトするうちに、「代理店をやらないか」と誘われました。25歳、成り行きでの起業でした。
水谷/ピアノ講師でしたが、結婚を機に夫の工務店の手伝いに。デザインにこだわったリフォームを手掛けたいと、社内に1人で事業部を立ち上げました。しかし、集客やお金の管理がしづらく、独立しようと考えました。40歳でした。
-女性ならではの苦労はありましたか
水谷/多額の資金を借りて起業しましたが、当初はお金がうまく回らず大変でした。そんな中でも子育てや家事をしないといけない。仕事が忙しく、どうしても家族のことは後回しになりがちに。でも「手料理だけは食べさせる」と決めていました。それが私にとっての両立でした。
村田/シロアリ対策は建設業の1つ。経験が重視され、男性が圧倒的に多い業界です。営業に回っても「おまえに何ができる」とあしらわれ、数知れず悔しい経験をしました。当時は「男だったらよかったのに」と恨めしく思いました。
5年ほど苦しい時期が続きましたが、従業員の生活もかかっている。「後には引けない」と必死でした。
水谷/女性経営者は孤立しがちです。男性経営者の集まりは多いですが、女性の起業家は圧倒的に少なく、疎外されていると感じやすい。だから村田さんも誘い、女性起業家同士のグループを立ち上げました。
-女性起業家が少ない理由は何でしょう
村田/ある女子大の先生との話で知ったのですが、最近の女子学生は、就職難もあって仕事で自立しようという意識が弱い。起業せよとは言いませんが、社会に出て世の中を知る楽しさを味わってほしいと思います。
水谷/女性も働くようになったと思いますが、結婚願望も強く、結婚を機に仕事をやめてしまう。だけど女性も仕事を持たないと、人生の目的を見失いやすくなる。やめずに続けてほしい。
村田/そう、継続は大事。確かに起業は大変で、私自身、最初の五年は必死すぎて記憶にないくらい。でもそのうち、仕事に誇りが湧いてくる。経営者でないとできない人間関係や経験が得られ、今は幸せです。ただ、もう起業時の大変な時期には戻りたくないかも。
-起業を目指す女性にエールを
水谷/人生を懸けるリスクがあり、覚悟も要ります。時には身を削るような思いもするけど、乗り越えた時、素晴らしい世界があります。自分で事業を立ち上げる楽しさも味わえます。
村田/尾張にそういう女性がまだ少なく感じる。増えていくとうれしいですね。
【水谷さんの会社】「パドゥドゥウ」/2001年創業。インテリアや庭を設計。14年に社名を「グラン・ジュッテ」に変える。従業員4人。一宮市猿海道1
【村田さんの会社】「アイ・エコアップ」/2002年創業。住宅、アパートのシロアリ調査や駆除、点検。従業員7人。一宮市新生2
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