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あの人に聞いてみよう/障害者雇用向上に向けて 企業との接点提供を

2013/09/08

三重労働局職業対策課長
内田護さん(58)

 かつて障害者雇用率が全国最下位となった三重県で、依然として障害者の働き口が確保されにくい状況が続いている。2012年度の障害者雇用率は、全国ワースト3の1.57%。どうすれば今以上に働く機会を得られるようになるのか。9月の「障害者雇用支援月間」を迎え、雇用推進に力を入れる三重労働局職業対策課長の内田護さん(58)に課題と展望を聞いた。(河北彬光)

 -県内の現状は。

 障害者雇用率は、従業員数に対する障害者の割合を示します。最新の1・57%という値は全国平均の1・69%を下回り、率直に言って低すぎる水準です。全国最下位だった09、10年は1・50%。少しずつ改善していますが、雇用を増やす取り組みはまだ十分でない。私たちの啓発不足も反省しなければならないと思っています。

 -なぜ低迷しているのか。

 一つは、県内に製造業が多いためと考えます。例えばプレス作業など、他業種に比べてハンディがある人がどうしても活躍しにくい職場環境が多い。もう一つは、企業の認識不足ではないでしょうか。障害者に働いてもらう場合、業務を補助する従業員の配置が必要になることがあります。企業を回ると、これを「コスト」ととらえるところが依然として多い。理解がまだまだ不十分です。

 -では、障害者を雇い入れる企業の利点とは。

 利益を追求する企業がコスト意識を持つのは分かりますが、障害者雇用を進めることによるメリットはもっと大きい。障害者が多く働く企業は、女性も高齢者も働きやすい職場であることが多いです。いわば人に優しい職場。人材活用の道が広がるし、対外的にも企業のイメージアップにつながります。

 -障害者がもっと活躍できるようにするためには。

 雇用が進んでいない企業に話を聞くと、どう採用活動に動いて良いのか分からないところが多い。障害者との接点が少ないからです。今後もっと企業と障害者が出会える場を提供していきたいと考えています。他県では障害者雇用率が10%近い企業を先進事例として、企業向けの勉強会を開いているところもあります。県内でもできないか参考にしているところです。

 もちろん社会の理解も忘れてはなりません。今まで以上に啓発活動の強化や、企業に対して障害者が能力を発揮できる仕事が何かを具体的に助言していこうと考えています。

    ◇

 うちだ・まもる 1955年4月、鈴鹿市生まれ。関西大外国語学部を卒業後、79年に松阪公共職業安定所(ハローワーク松阪)に一般事務で就職。津、四日市、鈴鹿などのハローワークで勤務し、一般の職業相談のほか障害者や外国人の就職支援を担当した。2010~11年に愛知県のハローワーク瀬戸所長を務め、今年4月から現職。鈴鹿市白子在住。