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【生活図鑑】非正規労働者(No.465) 高齢者、若年男性 雇用安定遠く

2013/09/05

 非正規労働者の割合が4割に迫ろうとしています。総務省の就業構造基本調査(2012年)では、非正規労働者比率は38.2%、総数は約2043万人と、過去最高になりました。高齢者、とくに高齢女性と20代、30代男性の非正規化が進んでいます。

 労働者の非正規比率は年々、上昇してきました。12年は女性の57・5%、男性でも22・1%が非正規で働いています。この10年で非正規化がどのように進んだか見てみましょう。

●高齢女性 高い伸び

 10年間で非正規労働者は422万人増加しました。増加したうち6割は女性、4割が男性でした。また、60歳以上は約245万人で、増加した非正規労働者数の58%を占めています。

 この背景には、00年に高年齢者雇用安定法で65歳までの雇用確保措置が努力義務化され、06年には努力義務から段階的に義務化を実施したことがあります。これにより、60歳定年退職後も、嘱託や契約社員で継続雇用されるケースが増え、非正規比率を押し上げました。

 一方、02年と12年を比べると、15歳から74歳までのすべての年齢区分で非正規比率が上昇しました。なかでも高い伸びを示したのは55歳以降の高齢者、とくに女性でした。

 女性の年齢別の上昇率を見ると、55歳以降、5ポイント以上非正規比率が上がっています。もともと非正規率が高い女性のなかで、この10年間でさらに高齢女性の非正規化が進みました。

 労働力調査(1~3月期)では、女性の場合、非正規で働く理由として、高齢期でも「家計を助けるため」が28%ありました。経済的理由で働く高齢女性が増えていることも考えられます。

●40代以降も非正規か

 非正規比率は、フリーターなどと重なる若年層でも上昇しました。しかも、20代後半と30代前半の男性が約6~7ポイントも上昇し、この年齢の男性の非正規化が進んだことが分かります。

 過去5年間の転職状況では、男性の場合、正規から非正規になるケースが増加。逆に非正規から正規になるのは難しくなっています。

 また、労働力調査でも、非正規に就いた理由は「正規の仕事がない」を挙げる男性が34歳までで34%、35~54歳で49・1%にも上っています。正規労働者として働きたいのに職がない状態です。

 このため、20代後半から30代の男性の非正規労働者は、40代以降も非正規で働く可能性が高く、深刻な問題といえそうです。

●年収は低下傾向

 非正規労働者の増加は、雇用者全体の年収にも影響を与えています。5年前、10年前に比べ、年収400万円未満の労働者の割合が上昇しました。年収の低下傾向が続いています。

 また、非正規労働者の雇用契約期間を見ると、契約期間の定めがないのは30・2%でした。52・7%が期間の定めがあり、1回当たりの契約期間は6カ月超1年以下が41・1%で最も多く、次いで1カ月以上6カ月以下が29・9%で、7割超が1年以下でした。また、更新回数は更新なしが22・2%。更新ありの場合、3~5回が最も多くなっていました。

 今後、再雇用制度などによる高齢非正規労働者の増加と、男性若年層の非正規化の影響で、さらに非正規比率が高まっていくのではないかと懸念されています。