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【くらし】休み明け 出社がつらい…憂鬱な気分の切り替え法は

2013/08/30

専門家に聞く

意識して緊張解く
深呼吸/半身浴/好きな音楽
「真の意味での休養を」
 

 まもなく9月。とはいえ、夏休み気分が抜けず、「仕事をやる気がしない」「会社に行きたくない」と感じている働く人も多いのでは-。そんな休み明けの憂鬱(ゆううつ)な気持ちを、どう切り替えたらいいか。専門家に聞いた。 (発知恵理子)

 ◇ ◇ ◇

 「休み明けに会社へ行きたくないのは、自分だけではない。まずは『みんなそうだ』と思うこと」。こう話すのは、看護師で産業カウンセラーの柳原里枝子さんだ。企業や行政のメンタルヘルス研修などを行う「株式会社ハートセラピー」(東京都武蔵野市)の代表を務める。

 残暑が厳しく、夏の疲れも出やすいこの時季。仕事への意欲が湧かないのは、きっと部下や上司も同じ。そう力を抜いて考えれば、少しは気が楽になるのかもしれない。1人で思い詰めないことだと言う。

 次に大切なのが出勤前夜の過ごし方だ。夏場は涼しい夕方から活動しがちだが、「無理して遊んだり、ゲームやパソコンなどで夜更かししたりして睡眠不足になると、翌朝に力が出ない」と柳原さん。

 「明日、会社に行くのが嫌だと思っている人は、緊張や不安を感じている。意識して自分をいたわる時間をつくってほしい」。ヨガやストレッチ、ぬるめのお湯につかる半身浴や、アロマオイルで好きな香りをかいだり、好きな音楽を聴いたりしてもよい。

 最も簡単なリラックス法として柳原さんが勧めるのが、深呼吸だ。緊張をゆるめ、心身を休息させる副交感神経の働きを高めてくれるという。「職場やトイレでもできて、プレゼン前にも効果的。家では寝る前に行い、そのまま眠ればよい」

 方法は、軽く目を閉じ、5分くらいぼーっとするだけ。呼吸は吐ききるのがポイントだ。すると、吸わなくても自然に空気が入る。職場などでは深呼吸の後、伸びなどをして少し体を動かすと、すっきりする。

     ◇

 休み明けがつらいといっても、いつもの職場で普段通りに仕事をするだけだ。それなのになぜ、憂鬱になるのか。

 「本当の意味で休めていないから、心身とも回復していない」と話すのは、ストレスケア日比谷クリニック院長の酒井和夫さん(東京都千代田区)。「今や誰もがスマホやパソコンの〝奴隷〟になっている。会社や取引先から、いつ連絡があるか分からない状況では、休みきれない」

 現代人が疲弊している原因は、通信機器の発達のほかに、将来に希望が持てない時代背景も。

 「高度経済成長の時は、会社が楽しい場所だった。景気が悪く、先の見えない今は、9割以上の人が会社へ行きたくないし、働くことを苦痛に感じている」

 そのため、「週休3日にするか、欧州のように、1年に1カ月のバカンスを取るくらいの余裕がないと、ストレス過多になる」と酒井さん。解決法は、長めの休みを取ること。「自分と家族のために、計画的に有給休暇を使い、リフレッシュする。企業はもっと、社員に取得の推進を」と言う。

 「本当に休むとは、携帯電話の電源を切るなど、いろいろなものから完全に自由になること。心身の調子が悪くなる前に、休暇を楽しむことが、うつ病などの予防になる」と話していた。