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【愛知】型師の技受け継いで 瀬戸石膏型組合

2013/07/31

会員減に危機感 職人育成へ期待

 陶磁器置物「瀬戸ノベルティ」の技術を次世代に継承しようと、瀬戸石膏(せっこう)型組合の会員が、瀬戸窯業高校専攻科の生徒と県立芸術大の学生への技術指導に取り組んでいる。瀬戸の地場産業を支えた瀬戸ノベルティは30年前の円高をきっかけに仕事は細り、技術も失われつつある。残った職人も高齢で、危機感は強い。 (水越直哉)

 瀬戸ノベルティの製造には、おおまかに4つの職人が関わる。完成モデルを作る「原型師」、石こうで型をつくる「型師」、型に泥状の生地を流し込む「鋳込み師」、彩りを加える「絵付け師」。瀬戸石膏型組合は、この中の型師や型屋と呼ばれる職人の集団で、1949(昭和24)年に設立された。

 大量生産するための重要な役割を担ってきた職業だが、ここ30年は型師も減少の一途をたどる。昭和50年代に187人いた組合員は今、50代~75歳の8人だけになった。

 学生らへの指導は昨年から始めた。同組合代表の武田本二さん(73)は「仕事が減って後継者ができず、ノベルティーを作る技術が受け継がれていない状態。昔は、最低でも10年やらないと1人前とは呼べなかった。その技が途絶えてしまうのは寂しい」と、後継者育成の必要性を語る。

 職人たちが教えるのは瀬戸ノベルティの一貫した作り方だ。今月は瀬戸窯業高校専攻科の6人に瀬戸市泉町のノベルティ・こども創造館で計4日間指導。職人は「型を取りやすいよう部品ごとに作った方がいい」などとアドバイスし、生徒たちは真剣な表情で取り組んでいた。

 初挑戦だった生徒の待田整人(なりと)さん(28)は「すごい技術が詰まっていると思う。せっかくなので技術を覚えて帰りたい」と話した。武田さんは「粘土原型をやってくれる人がおるだけでうれしくなる。技術を少しでも継いでくれる人が出てくれればいい」と期待を込めた。

 8、9月には県立芸大の12人を対象に、計4日間指導する。

瀬戸窯業高専攻科の生徒たちに、瀬戸ノベルティの作り方を教える武田さん(右から2人目)ら=瀬戸市泉町のノベルティ・こども創造館で
瀬戸窯業高専攻科の生徒たちに、瀬戸ノベルティの作り方を教える武田さん(右から2人目)ら=瀬戸市泉町のノベルティ・こども創造館で