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【三重】愛媛の谷岡さん 尾鷲で就職 故郷に負けないブリ育てる

2013/06/27

「養殖のエキスパートに」

 大学で学んだ水産学の知識を尾鷲で生かそうと、愛媛県内子町出身の谷岡義治(よしはる)さん(22)が、4月に就職した尾鷲市林町の水産会社「尾鷲物産」でブリ養殖に励んでいる。出身地の愛媛県も養殖ブリの産地で、「愛媛のブリに負けないような、おいしいブリを育てたい」と意気込んでいる。 (宮崎正嗣)

 谷岡さんは中学生の時から釣りが好きで、将来は水産業界で働くのが目標だった。愛媛県内の水産高校を卒業後、愛媛大農学部海洋生産科学コースに進学。海底の堆積物や生物が周辺環境にどう影響するかを研究した。

 就職活動を始めた4年生の春、水産会社とブリ養殖の研究に携わっていた担当の教授が谷岡さんに就職先として尾鷲物産を紹介。夏休みに尾鷲を訪れ、会社の養殖施設などを見学した。会社の職場環境や経営の将来性だけでなく、尾鷲の町も気に入り、その場で就職することを決めた。

 尾鷲物産の正社員は現在92人いるが、うち16人が他府県からのIターン就職者。会社は6年前に養殖業に参入したのを機に、県内にこだわらず大学で水産学や環境科学を専門的に学んだ人材を積極的に採用している。

 谷岡さんが配属されたのはブリとマグロの養殖を手掛ける飼料増養殖部。桑原宏部長は「一見科学的な養殖漁業の現場だが、依然として経験や勘への依存が強い。科学的な分析ができる人材として期待している」と話す。

 谷岡さんは現在、養殖漁業の基礎を学ぶため、先輩社員とともに尾鷲湾内にある会社の生けすの管理を担当している。午前6時から午後3時まで養殖漁船で過ごし、飼料の漁船への積み込みや、ブリの稚魚モジャコへの餌やり、生けすの網の取り換えなどが主な仕事だ。

 洋上にいる時間が長いため体力的にきついこともあるが、1日でも早く仕事を覚えようと、前向きに取り組んでいる。

 谷岡さんは「養殖の現場を任せられるエキスパートになるのが目標。故郷のブリに負けないおいしいブリを日本中へ送り出して、会社や尾鷲の町に貢献できれば」と目を輝かせている。