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【岐阜】16歳の女性 大工修業中 奮闘3カ月「毎日が勉強」

2013/06/22

多治見の武市さん 

 男衆に囲まれ、大工の道を歩み始めた16歳の女性がいる。多治見市根本町、武市みのりさん。「人が一生住む建物を造りたい」。職人かたぎにあこがれ、3カ月前から市内の建築会社で働く。「毎日が勉強。女だからって特別扱いされたくない」。周囲は「場数を踏んで一つ一つ覚えていってほしい」と見守る。

 背中の真ん中辺りまで伸びた茶色い髪をまとめ、金づちでくぎを打つ。柱に金具を取り付けたり、補強材を打ち込んだり。「毎日が勉強。怒られることもあるけど楽しい」

 中学に入学して間もなく、修理工の父親の手伝いで建築現場を回り始めた。「最初は嫌々」。が、2年生の秋、真剣なまなざしで丸のこを扱う姿に引きつけられた。「人が一生住む建物を造ることが、どうしようもなく魅力的に思えた」

 高校進学も考えたが、勉強は苦手。「友達と話すのは楽しいけど、授業中じっと座っているのは…」。2歳年上のいとこの大工の勧めもあって美濃加茂市の建築専門学校へ。1年間技術を学んだ。

 就職活動では東濃を中心に30社以上を受けたが、不採用。「女性を受け入れてくれるところはないのかな」

 卒業が迫った3月中旬、多治見市本町の建築会社「大恵」で面接。就職の苦労を話すと、親方の安藤栄剛さん(40)が「明日からでもおいで」と受け入れてくれた。安藤さんは「どうしても大工になりたいとの熱意が伝わってきて、初めて女性を雇うことを決めた」と振り返る。

 3月下旬から現場へ。力仕事は男性にはかなわない。材木や石こうボードは少しずつしか運べない。くぎを抜くのにも時間がかかる。1番の下っ端だから、掃除や片付けも率先してやらなければいけない。

 「女だからって特別扱いされたくない。甘やかされたら成長できない」

 安藤さんは「やる気があるのが一番。まだまだ覚えることばかりだが、多くの場数を踏んで成長してほしい」と支える。

 今は大工を志す女性が増えればと願う。「だって、現場でガールズトークがしたいですもん」(中川耕平)

補強材を打ち込む武市みのりさん。「毎日が勉強。早く一人前になりたい」=愛知県小牧市弥生町で
補強材を打ち込む武市みのりさん。「毎日が勉強。早く一人前になりたい」=愛知県小牧市弥生町で