2013/06/17
名古屋で人気 就職率高く
60秒自己アピール 会話力磨く
正規雇用を目指すフリーターやニートに就職活動の基本を教える「わかものハローワーク」が高い効果を挙げている。昨年秋に東京、大阪、名古屋の3カ所で開設され、専門の相談員を置いたり、就活講座を開いたりするなど若者にきめ細かな指導をしている。とりわけ名古屋ではグループで就活に取り組む講座「就活クラブ」が人気で、一般のハローワーク利用者の2倍以上の就職率となっている。(山野舞子)
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「私の強みはチームワークが得意なこと。臨機応変に段取りよく仕事ができます」
名古屋市中区栄のビルにある「愛知わかものハローワーク」で、平日午後に開かれている「就活クラブ」。20~30代半ばの男女13人が4組に分かれ、自分をアピールする「60秒コマーシャル」作りをする。講師の指導を受けながら、自分の持ち味を60秒以内で皆の前で発表し感想を述べ合う。
1回2時間の講座で発声練習や、正しい電話対応の仕方、「御中」と「様」の使い分けなど、ビジネスマナーの基本も学ぶ。大久保欣史所長は「新卒者でない若者の就活は孤独になりがち。会話を通じてコミュニケーション能力の向上にもつながる」と狙いを語る。
就活クラブは2カ月の準備期間をへて昨年10月、開設された。計6回で1セットの講座で受講料は無料。仕事を辞めた若者や就活自体が初めてのフリーターやニートら毎月15人ほどから申し込みがある。
今年4月末までの修了者108人のうち49%の53人が正社員として就職。ハローワークを利用した愛知県内の就職率20・5%の倍以上の就職率を残した。昨年末に印刷会社を退職した女性(25)=名古屋市北区=は「再就職は思った以上に厳しい。何度もやめたいと思ったけど仲間がいるから続けられる」と話す。
「愛知わかものハローワーク」全体では2000人以上が登録し、毎日160人が訪れる。3月末時点で397人が正社員として就職した。利用者に担当の相談員が付いて個人に合ったプランを作って支援するほか、書類の書き方や面接に特化した講座なども開く。大久保所長は「まだまだ参加者が少ない。まず一歩踏み出してほしい」と話している。
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◆全年齢層よりも高い若者失業率
厚生労働省によると、フリーターは「学生を除く15~34歳の男性か未婚の女性で、パートやアルバイトとして働く者、またはこれらの仕事を希望する者」、ニートは「学生を除く15~34歳のうち、仕事に就かず、家事や求職活動もしていない人たち」と定義される。
総務省の統計では、フリーターは2003年をピークに減少したが、08年のリーマン・ショック以降、3年連続で増え、12年は180万人。ニートは02年以降、60万人台で推移しており、12年は63万人。
4月末現在の若者の完全失業率は、15~24歳が8・1%、25~34歳が5・5%で、全年齢層の平均4・1%より高い。愛知県内では3月末現在、15~24歳が6・9%、25~34歳が3・5%で、全年齢層の平均3・3%より高かった。
愛知労働局の担当者は「就職活動を始める前の段階で若者が意欲を持てるよう、後押ししたい」と話している。
【わかものハローワーク】
正規雇用を目指すフリーターやニートの就職支援を目的に、厚生労働省が2012年10月、東京都渋谷区、大阪市阿倍野区、名古屋市中区栄四の3カ所に開設。対象は45歳未満で所在地は問わない。相談員のマンツーマン指導や就活講座の開催など、一般のハローワークよりもきめ細かい支援をする。政府は、10年に閣議決定した「新成長戦略」で、20年までにフリーターの数をピークだった03年の217万人から半減させる目標を掲げた。
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