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【社会】消費者庁 育児休暇で評価アップ

2013/06/12

新制度導入 同僚、上司も対象

 消費者庁が、育児のために短期間の休みを取った職員と、仕事を分担した同僚や上司の人事評価をともに上げる制度を導入したことが分かった。育児への積極参加を促し、ワークライフバランス(仕事と生活の調和)実現のモデルケースにするのが狙い。労働問題に詳しい研究者らによると、同様の制度導入は民間企業を含め、極めて珍しい。

 今回の制度の対象は、国家公務員の特別休暇に当たる短期間の休み。一般企業では「育児休暇」と呼ばれる。消費者庁では男性職員が妻の出産前後に付き添う場合は2日まで、1歳未満の子どもがいる職員は授乳や託児所などへの送迎のために1日2回、30分以内の休暇が取れるなどとしている。いずれも有給。

 人事評価制度の改正は、少子化担当相を兼務する森雅子消費者行政担当相が決定。他府省庁や経済界に導入を呼び掛けているが、今のところ追随の動きはないという。

 制度は今年4月からスタート。年2回提出する自己申告書に、職員が休みの取得や仕事への効果を記入し、昇格や昇給のための人事評価に反映させる。幼児や親の視点を意識した企画立案や、仕事の効率アップ、コミュニケーション能力の向上を期待している。

 制度開始時は、育児休暇を取得した職員だけを対象にしていたが「取得した人だけがいい思いをするのはおかしい」「かえって周囲に遠慮して取りにくくなる」との声が出たため、5月からは同僚と上司にも対象を拡大。4月以降、男性職員5人が育児のための休みを取得している。

 消費者庁の服部高明総務課長は「机で残業しているだけでは、生活者目線に立てない。無駄な業務の見直しや仕事の効率化につながる」と説明している。

【育児休暇と育児休業】
子育てのために短期間取得する休みが育児休暇。企業や官庁では「特別休暇」として定めているケースがある。企業では制度の有無をはじめ、給与の支給や期間など実態はさまざまだ。一方の育児休業は、育児・介護休業法や公務員の育児休業法で認められた子育てのために仕事を休める制度。企業では原則として子どもが1歳になるまで休業でき、一定の要件を満たしていれば雇用保険から休業前の賃金の50%が給付される。