2013/05/21
日本政策金融公庫 12年度
女性向け91%増
日本政策金融公庫が2013年度に東海3県(愛知、岐阜、三重)で実施した創業支援の融資総額が、前年度比47%増の97億1400万円に達し、2008年のリーマン・ショック前の水準を回復した。美容院やカフェなど女性による起業が相次いだほか、1件あたりの融資額が100万円増えるなど景気の持ち直し効果も表れた。(平井良信)
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公庫の創業融資は、個人などの小規模事業主が主な対象。12年度に創業融資を受けた企業数は、東日本大震災で落ち込んだ前年度から283社増えて1441社だった。リーマン・ショック以降、創業意欲の低下などで減少が続いていたが、4年ぶりに回復した。
通常よりも低金利で設備や運転資金を借りられる女性起業家支援資金の総額は、91%増の15億900万円で前年度を大きく上回った。融資先も62社多い225社となり、美容院やエステ、カフェなど女性らしい感性や気配りを生かせる分野での創業が多かった。
同公庫国民生活事業名古屋創業支援センターの西村好博所長代理は「近年、女性の働き方が多様化しており、独立して創業を選択する人が増えてきた。製造業に比べて設備資金がかからないことも大きい」と話している。
昨年末の政権交代後の景気回復への期待も影響し、1件あたりの平均融資額は、前年度の570万円から674万円に増加。西村氏は「景気の持ち直しによる需要拡大を見込み、計画を少し大きくしようという前向きな動きも出てきた」と説明する。
今年4月に創業支援の融資を受けた企業は前年同月比32件増の155件。円安、株高で大企業の業績が改善する中、個人の創業意欲も上向いている。
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◆名商相談窓口にぎわう
名古屋商工会議所(名古屋市中区)が4月に開設した無料の相談窓口「名商創業ステーション」には、創業を目指す人の相談が相次いでいる。これまでに90件あり、飲食店や美容院など8件が開業にこぎつけた。
相談の業種別内訳はサービス業が51件と最も多く、次いで小売業、建設業の順。飲食店のほかマッサージ業、学習塾など経験を生かしやすく、少ない資金で開業できる職種が目立っている。
相談内容で多いのは金融、事業計画、経理など。会議所の創業支援・専門指導センター長の二井克規氏は「景気がよくなると感じているせいか、創業を前向きに考える人が増えた」と解説する。
ステーションでは専門スタッフがさまざまな質問に応じ、開業後の販売促進策や販路開拓もアドバイスする。問い合わせは、会議所中小企業・会員支援部=電052(223)5757=へ。
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