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【経済】障害者向け求人が急増 前年比1・8倍の例も

2013/05/04

法定雇用率引き上げで人材確保 企業動く

 障害者向けの求人が急増している。企業に義務付けられている障害者の法定雇用率が4月から0・2ポイント引き上げられ、全従業員の2・0%となったことを受け、企業が他社より早く優秀な人材を確保しようと動いているためだ。特に精神障害者の求人が増えているのが特徴だ。

 人材サービスのインテリジェンス(東京)に寄せられた障害者向け求人数は、厚生労働省が昨年5月に法定雇用率の引き上げ方針を示した後に急増。昨年9月以降、前年同月比で1・5倍以上となり、今年3月は約1・8倍に増えた。

 ハローワークを通じた障害者の就職も増加し、昨年6月~今年2月で4万7,154件と前年同期比で1割以上増えた。

 従業員1万人の企業は、法定雇用率が0・2ポイント上がると雇わなければならない障害者は20人増える。一定規模以上の企業は雇用率を達成できないと納付金を課されるため、負担増を避けるためにも採用を増やす必要がある。就労可能な身体・知的障害者の多くは既に働いており、雇用率を満たすには精神障害者の採用が近道だ。

 パソナ子会社によると、従来の求人は身体・知的障害者向けが大半だったが、昨夏以降、精神障害者も対象とした求人が倍増している。だが担当者は「実際の採用には二の足を踏む企業が多い」と打ち明ける。

 精神障害は症状の差が大きく、企業はきめ細かく状況を把握し、その人に合った仕事を提供する必要がある。こうした負担感が敬遠される上「どう話しかけたらいいのか」と、日常的な接し方に戸惑う企業も多い。就労支援会社ウイングル(東京)の担当者は「まず短期の就労実習を受け入れ、精神障害者と働く経験を積んだ後だと採用がうまくいきやすい」と話している。