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働き手2割が60歳以上 総務省12年調査

2013/04/28

1192万人 10年で300万人増

 60歳以上で働いている人(就業者数)は2012年平均で前年比17万人増の1192万人となり、6年連続で過去最多を更新したことが、総務省の労働力調査で分かった。全就業者に占める割合は19・0%に達し、ほぼ5人に1人が60歳以上となった。

 ◇ ◇ ◇

 年金の受給開始年齢の引き上げや高齢化などで、60歳の定年後も働く人が増えている。若い世代の働き手が減っており、60歳以上の占める割合はさらに高まる見通しだ。日本経済の活性化や再生にはシニア層の活用が重要な課題だ。

 10年前の02年と比べると、60歳以上の就業者数は約310万人増加し、就業者に占める割合も5・0ポイント上昇した。特に1940年代後半生まれの団塊の世代が60歳を迎えた07年ごろから就業者が急増した。

 一方、現役世代に当たる15~59歳の就業者数は10年間で約370万人減少し、12年は5078万人だった。中でも15~29歳の若年層は1044万人で、10年間で約320万人減と大幅マイナスだった。

 60~64歳の全人口に占める、働いている人の割合は、12年で57・7%となり、60代前半では半数以上が働いている。

 働く60歳以上の増加には法改正の影響も大きい。01年から厚生年金の定額部分の受給開始年齢の引き上げが始まり、年金受給額が減少。安定した収入を確保するため政府は06年に改正高年齢者雇用安定法を施行し、原則的に希望する社員全員の雇用を65歳まで確保するよう企業に義務付けた。これが60歳以降の就業者増を大きく後押しした。

 厚生労働省は、60歳以上や女性の就業率が今の水準にとどまる場合、30年の就業者数は10年に比べ約850万人も減少すると推計。経済活動の停滞を回避するには、働くシニア層を増やすだけでなく、働きがいのある仕事を通じて能力や技能を高めることが不可欠としている。

【高年齢者雇用安定法】
希望する社員全員に対し、65歳までの雇用確保を企業に義務付ける法律。定年の引き上げか廃止、60歳の定年後に賃金や雇用形態を変える継続雇用のいずれかを企業が選択でき、約8割が継続雇用を採用している。労使合意に基づく場合、企業が継続雇用者を選ぶ基準を設けることが認められていたが、2013年3月末で廃止された。