2013/04/06
稲沢製作所
精密手作業、若い力結集
三菱電機稲沢製作所(愛知県稲沢市)は世界で唯一、曲線軌道の「スパイラルエスカレーター」の製造を手掛けている。1台約1億6000万円で、直線軌道の標準タイプのおよそ10倍。受注が1年以上ないこともざらだが、若手社員がエスカレーターづくりの最高技術を学ぶ貴重な場となっている。(池内琢)
製作所の一角にある作業場。「ジジジ、ジジジ…」。ゴーグルを着け、曲線用の鋼材を溶接する若手社員数人の手元で、青白い火花が光った。
「このジジジから、ジーという優しい音になったら、鋼材が溶けてちゃんとくっついた証拠だ」と、現場リーダーの田島健司さん(34)が説明していた。
曲線タイプは直線に比べて骨組みのゆがみが出やすく、溶接箇所も多い。すべて手作業になるため、1台をつくるのに30倍の時間がかかる。
稲沢製作所で直線が年間600台つくられるのに対し、曲線の受注は圧倒的に少ない。生産開始から30年近くたつが、これまでに納めたのは91台だけ。
注文が入った時だけ若手約10人の製作チームが組まれる。そのリーダーの田島さんは、愛知県一宮市の工業高校を卒業後、三菱電機に入社。2年目から曲線の骨組みづくりを、団塊世代の先輩社員に学んだ。
「骨組み固定の誤差は0・ミリ以内に収めろ」「溶接の熱で骨組みがゆがむから、作業の順番を工夫する」。先輩のこんな指摘をノートにメモしながら、溶接技術を身に付けていった。
団塊世代が退職し、今は田島さんが20~30代の若手にノウハウを伝える番。曲線のエスカレーターを「車で例えるなら、F1のようなスーパーカー」と言う。最高レベルの技術が詰まった現場で職人技が鍛えられ、稲沢製作所の高品質を支えている。
【スパイラルエスカレーター】
デザイン重視の建物向けに、らせん状の曲線を描くエスカレーター。エレベーターを含めた昇降機シェアで国内トップの三菱電機が唯一、製造する。1984年11月に生産が始まり、主な納入先は米ラスベガスのカジノや、サウジアラビアのホテル。国内では横浜市のランドマークタワー、三重県四日市市の商業施設スターアイランドなど
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