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【暮らし】<はたらく>農業の新しい形を築こう 全国若手農家 交流イベント

2013/02/22

 次世代の農業を支える若者に、新たな可能性や魅力を知ってもらうための大規模な交流イベント「アグリステーションフェスティバル」が28日から3月3日まで、東京都内の各会場で初めて開かれる。全国から延べ4000人が参加予定。実行委員でNPO法人「農家のこせがれネットワーク」代表理事の宮治勇輔さん(34)に同フェスの意義を聞いた。 (伊東治子)

 -今、開催する理由は。

 「農村地域を回ると『食えない。息子に農業を継がせられない』という不満が噴出する。今までは、農家の多くは農協の組合員になり、米や野菜の規格をそろえて出荷するだけで、自分で価格を決められなかった。今こそ、その仕組みを変える必要がある」

 -仕組みを変える?

 「僕らが考える新しい農業は、生産からお客さんの口に届くまで、一貫してプロデュースすること。例えば僕は実家の養豚業を継いだので、おいしい豚を育てるのはもちろん、バーベキューイベントで都市部のお客さんに食べてもらい、インターネットで買ってもらったり、飲食店を紹介してもらったりする。当然、飲食店にも営業に出向いて取引する。普通のビジネスと変わりません」

 -そうすれば、暮らしが成り立つ?

 「自分で販路をひらけば経営規模の大小にかかわらず、食べていくことができると思います。東京には農家とシェフをつなぐ活動をしている人もたくさんいる。今回のイベントで若手農家がそういう人たちと知り合い、成長する場にしてほしい」

 -実際に自分で販路を開拓する農家は増えているのか?

 「若い農家はそういうやり方を模索する傾向です。でも、年間の新規就農者約6万人のうち、39歳以下は1万4000人。農家の平均年齢は65・9歳です。もっと若い後継者を増やさなければいけない」

 -そのために何か策は。

 「実家は農家だけど、都市で会社勤めをしている若者が多い。僕はそういう農家の『こせがれ』が、ビジネスで培ったスキルとネットワークを生かしておやじの地盤、看板、農業技術を引き継げば、農業界を変革できると信じています」

 -同フェスでは米国の若手農家との交流会も予定されている。

 「米国というと、農薬を空中散布して農産物を工業的に大量生産しているイメージがあるが、実際には、地域の消費者と提携して、有機無農薬で育てた農産物を直販する動きが広がっている。今回、来日するのはそういう農家です」

 -同フェスに期待することは。

 「全国からこれだけ多くの元気な農家の若者が集まるイベントは、これまでなかった。なるべく多くの消費者にも参加してもらって、普段は会う機会がない九州や北海道の農家の話を聞いたり、環太平洋連携協定(TPP)について話し合ったりしてほしい。仲良くなって『今度、あんたのトマトを買うよ』というところから、少しずつネットワークが広がっていくと思います」

◆28日から都内で
 アグリステーションフェスティバル 東京・六本木の政策研究大学院大や麻布十番商店街などを会場に、農業政策に関する討論会や料理イベント、スター農家発掘オーディションなど7イベントが開かれる。全国農協青年組織協議会やNPO法人「農家のこせがれネットワーク」など4団体の協力で開催。参加予約受け付けは、フェスティバルのホームページ(アグリステーションフェスティバル2013で検索)上で24日まで。問い合わせは同事務局=電03(6277)8006=へ。

にしたいと話す宮治勇輔さん=東京都港区で
にしたいと話す宮治勇輔さん=東京都港区で