2013/02/15
「仕事をしたい」と考えていても、思い通りに働けない-。昨年11月23日に掲載した「障害や難病者の就労に配慮を」の記事に、読者から体験談が寄せられた。病気を詳しく説明すると理解を得られる職場がある一方、差別されたり、過剰な配慮に悩んだりするなどして、病気を隠して働く人もいる。悩んでいる2人の声を紹介する。 (稲熊美樹)
◆若年性パーキンソン病 同僚並み仕事に苦戦
手足が震えたり、筋肉が硬くなったりする難病の若年性パーキンソン病と診断された千葉県の女性(34)は6年間、小学校教諭として働いた。「変な誤解やうわさが立つのを避けたい」と考え、保護者や子どもには病気を伏せ、校長や教頭、学年主任だけに打ち明けた。「でも、隠すことは他の健康な方たちと同様の仕事ぶりが求められることだった」と振り返る。
教師の仕事は「体力勝負」。しかし、女性は緊張すると病気で体が固まって動けなくなり、ストレスにも弱い。自由に動ける時間に、いかに要領良く仕事をこなすかを常に考えていたという。同僚のパワフルな先生たちと同じように仕事ができない。次第に「自分のなりたい教師像に追いつけず、自信がなくなった」。年度途中に突然辞めて迷惑をかけるよりはいいと考え、余力を残して退職を決めたという。
その後、病気を打ち明けて不動産会社に事務職として採用されたが、仕事が何も与えられない時期もあった。「外見は他の人と同じように見えるのが、理解されない原因の1つでは」。同僚からの無視や、病気で意図せず体が動くことへの叱責(しっせき)などもあり、仕事への自信を失ってしまったという。
今は子育てをしながら専業主婦。服薬は必要だが、1日のうち調子のいい時間帯もある。「フルタイムでの仕事は難しいかもしれないが、少しでも働いてお金を得ることができたら、どんなにか生きる希望が持てるでしょうか」
難病でも、1日中調子が悪いわけではないから障害者手帳も交付されず、健康な人たちと同じように仕事をすることも難しい。「制度の谷間、ですね」。納得できない思いでいる。
◆てんかん 「正社員」も立ち消え
東海地方の30代男性は、持病のてんかんを職場に知らせず、非常勤職員として働いていたが、働き始めて約1年たったときに職場で倒れ、「ばれちゃった」。当時は仕事をしながら資格取得のため専門学校に通っており、多忙だった。
でもきちんと服薬し、睡眠時間を確保して、疲れをためないようにすれば普通に仕事はできる。倒れた翌日、病気を詳しく説明すると、上司や同僚は理解し、配慮してくれるようになった。
ただし、その数日前に「正社員にならないか」と持ち掛けられた話は、その後2年ほど進んでいない。倒れて以降は「やりましょうか」と進んで仕事を申し出ても、やんわりと断られる。せっかく取った資格を生かせない仕事ばかりだ。「もっと、いろいろなことができるのに」と、もどかしさが募る。
男性はやりがいや、正社員としての待遇を求めて転職も考えている。「病気だからこそ、できる仕事を増やさないと、後々困ることがあるのでは」。そんな焦りもある。
採用面接を受けるとき、病気のことを話すつもりはない。「まずは採用してもらわないと。働き始めてから、うまくやっていきます。病気だからと、首にすることはできないですから」
病気を隠して面接を受けるのは悪いとは思う。しかし、「それくらい考えなければいけないんです」と男性。上司や同僚の「勝手な不安」から同じように仕事をできず、悔しい思いをしているからこその決意だ。
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