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ひと彩々/マイク握れば聴衆の心捉える語り口 しゃべり 第2の人生

2013/02/07

講演、司会業
林泰治さん(65)

 総会やイベントでの講演、司会を請け負う個人事務所を今月、小牧市内に開いた。長年勤めた産業機械メーカーを定年退職したばかり。「第2の人生は世のため人のために役立ちたい」と誓う。

 ひとたびマイクを握れば立て板に水。穏やかな語り口で聴衆の心を捉える。会社員時代から副業で年間60回はステージを踏んでいたというから、経験は豊富だ。

 人前に立ち始めたのは会社の人事担当だった20代後半。求人で訪ねた高校から「企業が求める人材を生徒に話してほしい」と依頼されたのがきっかけだ。就職セミナーなどで講師を頼まれることも増え、講演や司会の仕事が次第に舞い込むようになった。

 ただ、最初は失敗の連続。難しい話をいかに分かりやすく話すかで苦労した。「専門用語を使えば立派な講師に見えるが、聴き手には退屈でしかない。簡単な言葉を使えば誰でも理解できるが、今度はごまかしがきかなくなる」

 何度も実践を重ねてつかんだのは、最初に大まかなポイントを話し、あとは3、4つのエピソードをちりばめるこつだった。「なるべく自分の体験談を交えること。その方が説得力が増す」

 入念な準備も欠かさない。例えば高校で話すときは校歌、校訓からクラブ活動まで徹底的に調べて話のネタにする。聴き手には「そんなことまで知っているのか」と親近感がわくという。

 「時間厳守も大事」と強調。どんなに良い話をしても、終了時間が5分でも延びると聴衆は時計を気にし始め、集中力がなくなるからだ。「だから時間さえ守れば誰でも『良い講師』になれるんです」と笑う。

 日頃からメモ帳を持ち歩き、思い浮かんだ言葉はすぐに書き留める。雑学も豊富で、話題のネタは尽きない。どれだけ大勢の前に立ってもマイクを握ればスッと緊張が消えるというから、まさに「しゃべるのが天職」の人なのだ。小牧市舟津。(平井剛)

身ぶり手ぶりを交えて分かりやすく語る林さん=小牧市内で
身ぶり手ぶりを交えて分かりやすく語る林さん=小牧市内で