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【経済】心機一転政策に期待 企業トップ年頭所感 

2012/01/05

 企業の多くが仕事始めを迎えた4日、経営トップが年頭あいさつで、成長に向けた決意を表明した。今年のえとのヘビに例えて「従来の発想、現状のやり方から思い切り脱皮する」(サントリーホールディングスの佐治信忠社長)などと心機一転を期す企業が多く、安倍政権の経済政策に期待する声も聞かれた。

 日本経済は依然として厳しい状況だが、セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長は「昨年末からは株価上昇や円安傾向など明るい兆しも生まれている」と指摘。東レの日覚(にっかく)昭広社長は「海外経済の状況が改善するにつれ景気回復へ向かう方向で、新政権の経済対策の効果にも期待できる」とした。

 全日本空輸の伊東信一郎社長は、沖縄県・尖閣諸島をめぐる日中関係の悪化で業績に影響が出ているとしながらも、世界の航空各社との競争などで「真価が問われる1年となる」と強調。

 昨年10月に新日本製鉄と住友金属工業が合併し発足した新日鉄住金の宗岡正二会長兼最高経営責任者(CEO)は、世界的に鉄鋼を取り巻く環境が悪化しているとして「自らの構造改革を一刻も早く成し遂げなければ」と力を込めた。

 昨年に米携帯電話大手の買収を発表したソフトバンクの孫正義社長は「本格的なグローバル展開の初年度として新たなステージに立つことになる」と意気込む。三菱東京UFJ銀行の平野信行頭取は「本年はさらなる飛躍を目指す好機」と位置付けた。

 安倍政権に対しては、三井不動産の菰田正信社長が、国内経済の本格的な回復は「長期安定政権として『決められる政治』を実行できるかどうかにかかっている」とし、環太平洋連携協定(TPP)参加などを要望。三井物産の飯島彰己社長も、規制改革などの推進に加え「新たな産業の創出につながる構造的な政策の展開」に期待を寄せた。

◆「信頼」 「挑戦」 「感謝」
◆中部企業でもトップが抱負

 中部地方の主要企業トップは4日、社員への年頭訓示や所感の発表を通じ、新年の抱負や決意を語った。

 浜岡原発(静岡県御前崎市)の全面停止で業績悪化が続く中部電力。水野明久社長は原発の安全対策と電力の安定供給、経営効率化を最重要課題に挙げ、「事業は社会の信頼なくして成り立たない。信頼の獲得に向け、たゆまぬ取り組みを」と社員に求めた。

 東邦ガスの安井香一社長は、節電対策の面でも天然ガスへの期待が高まっているとして「積極果敢にチャレンジし、新たな飛躍に向けたスタートの年にしたい」と意気込んだ。

 JR東海の山田佳臣社長は、2027年に東京-名古屋間の開業を目指すリニア中央新幹線に触れ「今年は環境影響評価(アセスメント)の結果をまとめ、さらに次へのステップに入っていく。着工前に運営体制の勉強を終え、歩を進めたい」と気を引き締めた。

 名古屋銀行の簗瀬悠紀夫頭取は、厳しい経済環境の上に近隣地銀の愛知県戦略が積極化しているとして、「今こそ行訓『全員参加の経営』の精神を再認識し、新しい発想で変革に挑んでほしい」と訴えた。

 2月に創立70周年を迎える中京銀行の深町正和頭取は「これまで当行を支えていただいた恩返しの意味も込めて、『感謝』をテーマに施策を展開していく」と語った。