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【愛知】草の根最前線/障害者らの自立を支援

2012/12/24

NPO法人「toピア」(半田市)

 障害や精神疾患を抱える若者が集まるフリースペースを運営する。毎日2、30代の6人ほどが通い、事務作業や職業訓練に励む。多くは発達障害や自閉症、不登校、引きこもりなど対人関係が苦手な若者だ。「働きたいが何から始めていいか分からない」。そんな1人1人の声に、数人のスタッフが親身に相談に乗る。ここでの生活を通して人間関係や社会人としての礼儀も学ぶ。

 活動を始めたきっかけは、代表の小久保紀子さん(48)が参加した地域のセミナー。家の外に障害者の居場所がない現状を知り「少しでも外に出る機会をつくりたい」と、公民館などで障害者と一緒に料理作りをするボランティア活動を始めた。

 施設が入るビル内には高齢者が通うデイサービス施設もある。お年寄りに食事を作ったり、会話を楽しんだり。まずはお年寄りとの交流から人間関係のこつを学ぶ。商品開発も始めた。半田市出身の童話作家、新美南吉の作品「ごんぎつね」にちなんだ「ゴンのしっぽ」というあめを開発し、梱包(こんぽう)作業を担当する。

 目標は、働いて自立すること。就職の面接練習やパソコン講座のほか、自分の長所や短所を考える自己分析も指導。来た時とは別人のように成長して就職していく若者もいる一方、会社を辞めて再び戻ってくる人もいる。

 小久保さんは「社会は厳しいが長い目で見守りたい。いつでも立ち寄れる実家のような場所であり続けたい」と話す。 (山野舞子)

開発した商品の梱包作業に励む小久保さん㊧と若者たち=半田市春日町で
開発した商品の梱包作業に励む小久保さん㊧と若者たち=半田市春日町で