2012/10/27
小学2~6年の間 松葉づえ手放せず
瀬戸市消防本部に今秋、病気で4年間歩行不能だった内田祐介さん(23)が消防士の仲間入りした。原因不明の「ペルテス病」にかかり、小学校時代の大半を松葉づえで暮らすことを余儀なくされた内田さん。その苦労を生かし「助けられる側の気持ちになって活動できる消防士に」と第一歩を踏み出した。 (水越直哉)
岐阜県中津川市出身の内田さんは、小学2年の時にペルテス病と診断された。血行不良によって、大腿(だいたい)骨の一部が壊死(えし)してしまう珍しい病気だ。大腿骨が再生するまで、両足を装具で固定する必要がある。
内田さんも小学6年の途中まで松葉づえが手放せなかった。学校へは親が送迎。校内の移動は同級生らに頼った。子どもながらに「周りの助けがないと生活すらできない」と実感。「将来は人を助ける仕事に就きたい」と、漠然と考え始めた。
現在は病気は完治。消防士を目指そうと思ったのは東日本大震災がきっかけ。中津川市の市民ボランティアに登録し、発生から2週間後、宮城県石巻市へ。多数の行方不明者がいるのに、自分にできたのは泥かきだけだった。「もっと専門的な知識があれば救助もできたのに」と悔しさがあふれた。
◆「故郷に似た」瀬戸 3交代制の業務に
瀬戸を選んだのは試験日程の都合もあるが「街の雰囲気が故郷に似ていた」から。4~9月に尾張旭市の県消防学校で訓練を重ね、校長賞という優秀な成績で卒業した。現在は瀬戸市消防署東分署に勤務。慣れない3交代制に戸惑いつつも、業務に励む。
助けられてきた子ども時代だったが、今度は助ける側に回った。「もともと運動は大好きで、人を助けたいという気持ちも強いと思っています」。難病を乗り越えた消防士がいま、羽ばたこうとしている。
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