2012/10/25
サンプル職人
竹内 繁春さん(60)
レストランや喫茶店の店先に並ぶ食品サンプルを40年近く作り続けてきた。独自の発想で次々に新しい作品を考案。フォークが宙に浮いたスパゲティのサンプルを生みだし、「空中パスタの父」との異名もとる。「より本物に近く。食欲をそそるように」。今も試行錯誤の日々が続く。
鹿児島県出身。中学卒業後、鉄工所に就職したが体調を崩し退職した。故郷に戻っていたところサンプル製造会社の求人広告を見つけ、気楽な気持ちで就職。いつの間にかサンプル作りの魅力にはまり、職人の道に進んでいた。名古屋市の別の製造会社に移った後、28歳で独立した。
食品サンプルは、劣化しない塩化ビニルやシリコンなどで作る。本物の食材で型をとり、塩化ビニルなどを流し込んで固め、色をつけるのが基本的なやり方。オーブンで焼いたり、クリーム状のシリコン材を使ったりと、料理によってさまざまに工夫を凝らす。
「ただ盛りつけるだけでは面白くない。おいしく見えるよう、動きを出したかった」。30年前に、針金を使ってフォークなどを宙に浮かせる技法を考案した。2004年には、鉄鍋でいためたチャーハンが宙を舞う作品「空飛ぶチャーハン」を考案。国美芸術展特別賞を受賞した。
「思い通りの仕上がりにならず、何度もやめようと思った。でも作品を見た人が『本物そっくり』と驚くのを見るのが、何より楽しい」。日進市藤枝町。 (坪井千隼)
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