2012/08/29
トヨタのデザイナー/三輪さん(豊田)
高校時代に才能発掘/西村さん(岐阜・各務原)
中区で絵画30点ずつ
トヨタ自動車のデザイナー三輪日出雄さん(53)=豊田市=と、三輪さんの高校時代の恩師西村知弘さん(65)=岐阜県各務原市=の「2人展」が28日、中区千代田の「ギャラリーチヨダ」で始まった。「今があるのは先生のおかげ」。三輪さんは生徒だった35年前を振り返り、西村さんへの感謝を語る。 (伊藤隆平)
三輪さんと西村さんは愛知工業高校(北区)で出会った。
横浜市のデザイン会社で車のデザイナーをしていた西村さんは美術教諭に転身。初めての生徒だった三輪さんの描いたコップのスケッチを見て「あまりのうまさに血の気が引いた」。新天地の1年目にして、プロの世界で通じる才能と巡り合った。
直線の引き方など、基本的な技術から教え込んだ。夜遅くまで練習に付き合い、一緒に徹夜をしたことも。「デザインを思い浮かべる発想力、それを描く表現力がともに備わっていた。将来を見据え、わずかな時間で仕上げる力も鍛えた」。世界を舞台にするトヨタ自動車への就職を、迷わず勧めた。
採用試験に受かった三輪さんは「セリカ」や「カローラ」といった人気車に携わった。2005年の愛・地球博で話題を集めた次世代型の1人乗り自動車「i-unit(アイユニット)」をはじめ、「プリウス」や「パッソ」もデザインした。
後進の育成もするようになった三輪さんと西村さんの「2人展」は、愛知工業高で西村さんにかつて教わった、ギャラリーの経営者前田由香子さんが企画。
三輪さんは車や、旅先の自然などをテーマにした力作の水彩画30点を選んだ。大同大(南区)で美術講師を続ける西村さんは、ライフワークで描く国内各地の棚田などのパステル画30点を飾った。
2人が一緒に作品展を開くのは、初めて。「ものになるかわからない力を認めてくれ、デザイナーへの道を開いてくれたのは先生だった」。三輪さんは顔をくしゃくしゃにして笑う。大きく育った教え子に、西村さんはエールを送った。「この先も才能を生かし、絵を描き続けてほしい」
展示は9月2日まで。入場無料。[問]同ギャラリー=電(262)0288
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