2012/08/23
集落営農組織化が進み、農家の女性たちが農作業から農産物の加工・販売へと活躍の場を広げている。そうした女性グループは大幅に増え、商品の独自ブランド化や農家レストランの開設に乗り出す動きも。農業(1次産業)に加工(2次産業)、販売(3次産業)を加えた6次産業化を女性パワーがけん引している。
■特産生かす「起業家」に
「注文入ったざ」「手が空いたよ、次は何する」。福井市河増(こうます)町にあるJA福井市の農産物直売所「アグリらんど喜(き)ね舎(や)」の加工場で元気な声が飛び交う。地場野菜の調理を手際良く進めるのは企業組合「ファームまぁま喜ね舎」の面々。自慢のおはぎが独自ブランドと呼べるまでに知名度を高め、総菜、弁当なども含め売り上げは年間一億円以上。県内トップレベルの実力を誇る。
メンバー36人の約半数が農家。兼業農家でメンバーの女性(61)は「集落営農で楽になったけど、定年後にすることがなくて。老け込むのも嫌だから」と昨年四月に加わった。松田千鶴子代表理事(70)は「70歳定年だが希望すれば99歳まで働ける」と話す。
宅配の地産地消弁当などが人気のあばん亭(小浜市)は、昨年7月に古民家を利用して農家レストランをオープンさせた。「口コミでリピーターも増え、手応えを感じている」と小谷清美代表(60)。「地場野菜を使ったデザートの商品化に挑戦したい」と次を見据える。
県によると、グループ数は2002年度末の107から、08年度末は147に増加。11年度末は132となったが「グループ間の統合が要因で、活動自体は活発化している」と話す。
県水田農業経営課の担当者は「農村女性の役割は、かつての『農作業でのお父さんのパートナー』から、地域の特産を生かす起業家へ変化してきた」と、6次産業化の担い手として女性パワーに期待を寄せている。
(北原愛)
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