2012/08/14
滋賀県警
8月2日付 滋賀版から
出産や育児などで退職した40~50代の元女性警察官3人が、滋賀県警に再採用された。いずれも退職から20年前後たってからのカムバックで、警察官では全国でも例がない。3人は新たな決意を胸に、変わらぬ敬礼姿で第2の警察人生のスタートを切った。
巡査として再採用されたのは、布施稔子(としこ)さん(52)、川田まさ子さん(48)、内田万実(まみ)さん(48)。まだ少なかった女性警察官の〝ホープ〟として採用されたが、当時は働く女性への支援が今ほど充実しておらず、出産などを機に20代後半で退職した。
それでも「警察の仕事は生きがいだった」という3人。数年前から交番などで相談員として警察の仕事を支えてきた。はつらつと仕事をする若手警察官の姿を見て「戻りたい」と思うことが幾度もあったという。
転機は今年4月。同県警の再採用に「退職後10年を経過していないこと」との制限がなくなり、3人はすぐに応募した。
県警によると、警察官の再採用制度があるのは9都県。うち7都県は離職期間の制限を8~15年とし、制限がないのは滋賀、香川だけ。香川は採用実績がなく、3人は異例の年代での再採用となった。
かつての同期は、県警本部や各署でベテランといわれる世代。1日に辞令を受けた3人は「警察を離れたことで見えるものもある。主婦や母として養った市民感覚を生かしたい」と意欲を語った。
◆取材後記
20年ぶりの敬礼には、1人の女性として社会で働ける喜びが満ちていた。
女性の生活感覚を警察組織でも生かす-。女性が被害者となるケースが多いストーカー行為や家庭内暴力の相談件数の増加に伴い、女性の力が必要な機会も増えている。全国で女性警察官を増やす取り組みが進む中、試金石にもなりそうだ。
「若手には負けられません」とほほ笑み、目を輝かせた3人。復帰組ならではの〝新風〟を巻き起こしてくれそうだ。 (木原育子)
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