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【愛知】わがまち企業 最前線/障害者雇い有機野菜栽培

2012/07/16

ライフコーポレーション(半田市)

 2010年にカントリー事業部を創設し、武豊町の温室で有機野菜を育てている。障害者を雇い、野菜嫌いの子どもでも食べやすいように加工品も開発。酒井磨毅(まだけ)社長(52)は「地域の人に喜んでもらえる会社にしたい」と力を込める。

 冠婚葬祭用の贈答品や生花の取り扱いが本業。妻の父から半田市内の水田を継ぎ、5年前に個人的に稲作を始めた。「どうせやるなら、おいしい農産物を作りたい」と事業を広げた。

 おいしい農産物を作る方法を学ぼうと、全国各地を視察した。印象的だったのは山形県の畑で出合ったネギ。枯草(こそう)菌という細菌を増殖させた土で育ち、かじると口中に甘みが広がった。「こんなにおいしいものを知多半島でも作りたいと思った」と振り返る。

 天候に左右されにくいように、農地は武豊町の旧カーネーション団地の空き区画の温室を借りた。枯草菌を使った土作りから始め、ツケナを育てた。最初は納得のいく味にならなかったが、回数を重ねて改善。続けて育てたホウレンソウの出来も良く、本格的な事業化を決意した。

 「他の事業と比べて思い思いのペースで作業しやすいだろう」と、働き手に長男の同級生など知的障害者や視覚障害者を選んだ。市町村の委託で事業所に知的障害者を預かり「職親(しょくおや)」として職業訓練をする制度も活用。この制度で習熟した人はパートとして雇っている。現在は障害のない人を含めて六人が従事している。

 できた農産物はJAあいち知多の直売所や量販店などで売られ「苦味がなくておいしい」「甘くて味がある」と評判もいい。

 販売を本業にしていることから、生産、加工を含めた「六次産業化」に力を入れ、国の認定も受けた。地元の福祉作業所と共同で作った「ほうれん草クッキー」は名古屋市でも売られている。製粉会社と共同でホウレンソウを使った「翡翠(ひすい)麺」も開発し、今秋の発売を予定している。

 酒井さんは「おいしいものを食べたいという思いは誰でも同じ。障害者の雇用も広げ、農業の発展に貢献できたら」と話している。 (吉岡雅幸)

 ライフコーポレーション 2003年に創業。資本金300万円。従業員は正社員6人、パート10人。半田市青山4の2の1。電0569(25)0385

温室で作業する酒井さん(左から2人目)ら。障害者らを雇い、有機野菜を育てている=武豊町二ツ峯で
温室で作業する酒井さん(左から2人目)ら。障害者らを雇い、有機野菜を育てている=武豊町二ツ峯で