2012/05/29
モノづくりの経験が少ない新入社員に製品を知ってもらうため、トヨタ自動車グループの部品メーカー、豊田合成(清須市)が、自動車の分解や組み付けを研修に取り入れている。自動車関連企業に就職しながら「エンジン室に触ったことがない」という人も多く、新鮮な体験のようだ。
真新しいカローラの後部ドアを囲み、周囲に取り付けられた環状のゴム部品を取り外していく新入社員たち。美和技術センター(あま市)で、大卒新人ら57人の体験教育が実施された。
1人が部品を元に戻そうとするが、溝にはまらない。「裏返しになってる」。指導役の整備士に指摘され、慌てて向きを直した。エンジン周辺やハンドル内のエアバッグでも作業し、実際の部品製造も体験する。
「車に触れて初めて分かることは多い。彼らが設計や開発部門に進んだ時、ミスを防げる部品を考案すれば安全と品質が向上できる」。技術管理室の教育担当、藤浪京一さんは説明する。
この研修は事務系社員も対象に、2009年から始まった。「ボンネットを開けたことがある人は」と質問すると、手を挙げる新入社員はまばら。現場に配属されても「モンキーレンチ」といった工具の名前を知らない場合もある。メーカーとしての危機感が出発点だった。
20代の新入社員は「エンジン室をいじるのは生まれて初めて。これから自分が携わる製品と考えると実感がわく」と話した。 (荒井隆宏)
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