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【経済】開拓中電の「土木女子」 会社側も支援悩みや将来設計交流会で相談

2012/05/08

「過保護は嫌」「後輩に道を」   
20代社員の7人 

 中部電力で水力発電用ダムの運転や維持管理などを受け持つ土木部門の技術職。男性ばかりだった職場に2008年以降、少しずつ女性が進出し始め、今年入社した2人を含めて7人に増えた。土木系技術職は694人中、半数は山間地で勤務し、夜勤もある。まだ20代の7人に戦力となって長く勤めてもらおうと、会社側も手を打ち始めた。(大森準)

 08年入社の谷口奈里さん(25)は、昨年8月から西平土木管理所(岐阜県揖斐川町)でダムの運転員を務める。ダムの水門を操作して水量を調整しながら発電する仕事で、中電では女性第1号だ。

 会社の寮から職場まで車で40分かけて通勤。勤務は1日2交代制で、日勤と夜勤を繰り返す。「かわいがってもらっているけど、過保護な面もある。男性と同じように仕事を任せてもらえるように、自分から積極的に手を挙げないと」と気を引き締める。

 谷口さん以外にも2人が現場第一線の土木管理所で勤務。ダム周辺の山あいを数時間かけて歩いて設備を点検したり、電柱などに登って補修をしたりと体力を使う仕事もある。

 今後、出産や育児などで生活が変わっていく時期を迎えるが、職場に先輩の女性社員はいない。

 「自分の将来をイメージし、悩みや不安を解消できるきっかけをつくりたい」。こう考えた女性活躍推進室長の森下由季子さん(43)は先月、大手ゼネコン2社に呼び掛け、名古屋市で土木技術系女性社員の異業種交流会を開いた。

 鹿島の女性土木技術者で草分け的な存在の須田久美子さん(52)が、二人の子育てをしながら24年間の研究所勤務を経て、5年前に念願の現場勤務をかなえた体験談を披露。「土木技術者に男性も女性もない。大変だと感じたときは、女性だからではなく、1人の人間として未熟なせいだと思って仕事をしてきた」と振り返った。

 交流会には、中電の4人を含め鹿島、大成建設から20代の女性計10人が参加。男性が大半の職場内での意思疎通や将来的に仕事と家庭を両立できるかなどの悩みを打ち明け合った。中電飛騨電力センター(岐阜県下呂市)の豊田真理奈さん(22)は「自分たちが仕事を続けていくことで、後輩たちが安心して働けるようにしたい」と決意を新たにした。

 「女性がいらない職場はない。同じ立場で頑張っている人との交流で視野を広げ、壁を乗り越えてほしい」と森下さん。今後も交流会を定期的に開き、側面支援する方針だ。

異業種の土木部門技術系女性社員が集まり、業務の悩みなどを話した交流会=名古屋市東区の東桜会館で
異業種の土木部門技術系女性社員が集まり、業務の悩みなどを話した交流会=名古屋市東区の東桜会館で