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【経済】65歳まで希望者再雇用 義務づけ 企業の3割反対

2012/05/03

「若年層の雇用に悪影響」

 今回のアンケートでは、希望者全員を65歳まで再雇用するよう企業に義務づける政府方針に対し、約3割の企業が反対していることが分かった。急成長する新興国との価格競争などが激化し、人件費上昇につながる政策への「アレルギー」は強いようだ。

参照=【経済】中部主要企業 来春の採用抑制傾向 「減らす」2割に上昇
http://job.chunichi.co.jp/news/index.php?nid=1921&ts=1336357756

 60歳定年を迎えた社員の再雇用は、これまで労使協定で健康状態、勤務成績などの基準を設け、対象者を選別できた。年金の受給開始年齢が引き上げられるのに伴い、政府が今国会に提出した高年齢者雇用安定法改正案では、この選別を撤廃して希望者全員の再雇用が義務付けられる。

 これに反対と回答した企業数は38社(29・0%)で、賛成の22社(16・8%)を大幅に上回った。特に製造業の反対は、22社(33・8%)に上った。回答全体では「分からない」が66社(50・4%)で最多だった。

 反対理由では「新卒採用の手控えで新陳代謝を損なう」(自動車関連)など、若年層の雇用への悪影響を懸念する声が多かった。実際に導入された場合の対応策(複数回答)は「賃金体系を見直す」(34社)、「若年層の採用を減らす」(9社)などの回答が中心で、現役世代へのしわ寄せが懸念される結果となった。

 東京大が検討している秋入学移行への賛否では「分からない」との回答が111社(84・7%)で圧倒的多数を占めた。本格的な検討は始まったばかりなうえ社会全体の仕組みにも影響する問題だけに、今後の動向を見極める「様子見」の姿勢が色濃く出た。

 賛成は15社(11・5%)、反対は3社(2・3%)だった。賛成の理由は「日本の大学の教育水準が向上」(自動車関連)「日本人学生の海外留学が増えやすくなる」(機械)などが挙がった。

 来春の新卒採用に向けては、経団連の倫理憲章の見直しで、会社説明会などの開始時期が例年より2カ月遅れの昨年12月だった。

 この新卒採用の期間短縮の影響(複数回答)は、47社が「学生のエントリー(登録)数が減少」と回答。学生側が、回る企業数を絞り込んだためとみられる。「企業研究の水準が下がった」(ガラス・土石)「業界に対する理解度が低下」(金融)など、学生の準備不足を指摘する企業も11社あった。