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【経済】中部主要企業 来春の採用抑制傾向 「減らす」2割に上昇

2012/05/03

 中日新聞社が中部地方に拠点を置く主要企業を対象に行った採用・雇用アンケートで、2013年春の新卒採用計画人数を、今春実績より「増やす」と回答した企業割合が前年調査より10ポイント近く減って3割を切る一方、「減らす」企業は2割に増えた。円高や欧州の金融・財政危機などで経営環境の不透明さが続いていることを受け、製造業を中心に新卒採用に慎重な姿勢が浮き彫りになった。

 リーマン・ショック後の最悪期から抜けた11年春の計画以降、中部の新卒採用は回復してきたが、再び抑制傾向が強まり、学生たちにとって厳しい就職戦線になりそうだ。

 来春の採用数を増やす企業は38社で、前年調査比9・7ポイント減の29・0%。減らす企業は27社(20・6%)で、前年(9・7%)から10・9ポイント上昇した。今春と「同水準」は51社(38・9%)で、前年に続き最多の回答数だった。

 業種別に見ると、製造業(65社)では、増加が11社(16・9%)にとどまったのに対し、減少は21社(32・3%)に達した。非製造業(66社)は増加が27社(40・9%)、減少が6社(9・1%)で、製造業の慎重姿勢が目立った。特に、中部を代表する自動車関連、機械などの業種で減少や、前年と同水準の回答が多かった。

 トヨタ自動車は、減らす理由を「筋肉質な企業体質の構築」のためと説明。国内の自動車販売低迷を受け、商品開発力向上のため技術系は増やす一方、事務系を絞り込んだ。

 逆に、非製造業は小売り、外食産業、金融機関がけん引役となった。採用増の理由は「新規出店増加」(アトム)を挙げる企業が多かった。ユニーは「海外出店で国際的に活躍できる幹部候補生が必要」とし、語学が堪能な学生などを積極採用する方針だ。

 ただ、浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)を停止している中部電力は、今春実績より60人弱減らす計画。「代替火力の燃料費の増加などで、経営が厳しい」などと理由を説明した。

 アンケートは4月上旬から下旬にかけ、中部9県に本社や主要拠点を置く上場企業など135社を対象に実施。131社(97・0%)から回答を得た。