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【年金問題】国民年金、8割が減免・猶予対象者

2008/11/18

 自営業者や非正規労働者らが加入する国民年金で、約2000万人の全加入者のうち、所得が一定基準以下のため保険料の減免や猶予の対象となる人が8割の約1590万人に上り、このうち約1020万人が減免などを申請していないことが厚生労働省の推計で分かった。

 減免などを受けるには申請が必要だが、実際の利用者は対象者の3割強、約570万人にとどまる。制度の存在を知らない人も相当数いるとみられるが、申請しないまま保険料を納めないと将来の無年金や低年金につながる恐れがある。厚労省は申請なしで保険料を軽減し、一部を公費で補助する仕組みを検討している。

 もともと国民年金は主な加入者として自営業者や農家を想定。所得把握が難しいことから、保険料は一律(現在は月額1万4410円)に設定された。だが、厚生年金が適用されない臨時雇用やパートの労働者の割合が増え、今や自営業者は全体の2割に満たない。本来は例外である減免などの対象者が大多数を占めるといういびつな状態になっている。

 所得に応じて自動的に保険料が軽減される健康保険などと違い、減免は滞納者にできるだけ保険料を支払ってもらうための措置という考え方のため、社会保険庁は積極的なPRもしていない。

 全額免除となるのは単身世帯で年間所得が57万円以下、4人世帯では162万円以下で合計521万人いるのに、実際の申請者は約4割の202万人。4分の1免除では153万人の対象者のうち、8万人しか申請していない。

 減免を申請しないまま未納になると、受給資格期間に算入されない。厚労省は、低所得者の保険料を一部補助する案などを社会保障審議会に提示しているが、財源確保や所得把握の方法などが課題だ。