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【社会】可児のブラジル人過労死、遺族が提訴 8千万円賠償請求

2008/11/19

 2004年に岐阜県可児市の派遣先工場で作業中に死亡し、過労死と認定された派遣社員の日系ブラジル人男性=当時(51)=の遺族が18日、同市の派遣会社と派遣先の航空機部品製造業者(岐阜市)に慰謝料など計8000万円の支払いを求め岐阜地裁に提訴した。過労死弁護団全国連絡会議によると、日系外国人労働者の過労死による損害賠償訴訟は全国的にも珍しい。

 訴えたのは、ブラジルに住む男性の妻(56)と長女(25)、長男(21)。遺族側は派遣会社に加え、偽装請負状態で労働管理をしていた工場側も、労働者の心身の健康に注意を払う安全配慮義務を怠ったとしている。

 訴状では、男性は1992年に来日し、川崎重工業の下請け企業の工場に派遣されて航空機部品の組み立てなどを担当。04年2月に工場で作業中に倒れ、急死した。

 発症前6カ月間の月平均時間外労働は、労災認定の基準を満たす80時間以上で、遺族が今年4月に労災申請。10月に多治見労働基準監督署が業務と死亡の因果関係を認めた。

 遺族代理人の松丸正弁護士は「外国人の過酷な労働実態と偽装請負の問題を明らかにしたい」としている。

 派遣会社と派遣先の製造業者は「訴状を見て対応を検討する」としている。