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【岐阜】垂井不破消防本部 最前線で人を助けたい 女性消防士が奮闘中

2012/01/21

4年目 岩瀬貴与さん
1年目 前橋由美さん

 垂井町の不破消防組合消防本部で、岩瀬貴与さん(23)と前橋由美さん(23)が消防士として活躍している。消防隊員54人の中で女性は2人だけ。消防出初め式では、3階建ての本部屋上からザイルで約15メートル降下する勇姿を見せた。男性と同じ勤務をこなす2人は「消防や救急の最前線で人を助けたい」と、今日も訓練に励んでいる。 (秋田佐和子)

 岩瀬さんは、東消防署警防課防災係勤務で入庁4年目。身長162センチ、体重63キロ。同本部初めての女性消防隊員だ。

 これまで10回ほど出動した火災現場では、呼吸器を合わせると15キロはある防火衣を着けて消火活動に従事。救急出動は、数え切れない。多い日には5、6回も救急車に乗り込み、患者の症状や状況に合わせて、自動体外式除細動器(AED)や酸素、毛布などを準備する。

 就職で悩んでいた18歳のとき、垂井駅で病気の発作に苦しむ女性を助けたことが、消防隊員になるきっかけになった。周りの人が、何も手助けせずに通り過ぎるのを見て「私にはこの仕事しかない」と考えたという。

 入庁1年目の前橋さんは、身長152センチ、体重51キロと小柄。まだ配属は決まっておらず、本部の各係で基本的な仕事を学んでいる。救急車で出動する際は「患者の家族がパニックになっていても慌てず、どういう処置をするのか伝えながら動く」。火災現場にも出動したが、現場での“修行”はこれからだ。

 高校卒業後、看護師だった母の影響を受けて看護学校へ進学したが、病院実習を受けているとき「患者を待つより現場に行って助けたい」と決断。2年生で退学し、救急救命士の資格取得のため専門学校に入学した。

 3交代勤務の2人は、同じチームで出動することはほとんどないが、前橋さんは「先輩に女性がいてくれて心強い」と話す。宿直の日は女性用の個室で休み、出動指令を待つ毎日が続く。

 「消防車の操作をする機関員になるために、技術をもっと身につけたい」「患者の家族が安心できる対応をしたい」などと、2人とも目標は尽きない。

 同本部の吉田守男消防長は「2人ともさっぱりした性格。バリバリ仕事をする一方で、患者に対する気配りがあり、細かいところによく気が付く」と評価。若い女性隊員の活躍に期待を寄せている。

出初め式の救助訓練で、ザイルで降下する岩瀬さん(右)と前橋さん=垂井町の不破消防組合消防本部で
出初め式の救助訓練で、ザイルで降下する岩瀬さん(右)と前橋さん=垂井町の不破消防組合消防本部で